懐かしの90年代アジア映画的テイストを思い起こさせる『薄氷の殺人』
- 2015/02/12
- 11:00
原題は「白日焔火」、英語タイトルは「BLACK COAL, THIN ICE」。
90年代に青春時代を過ごし、北野武映画や黒沢清映画、エドワード・ヤンやツァイ・ミンリャンの台湾映画を観てきた人間からすると、とても懐かしいテイストの映画だった。懐かしいと言ってもこの中国映画は2014年製作の最新作。

警察を辞めた主人公が長年気になっていた未解決事件を追うというストーリー。
警察を辞めるきっかけとなった場末の美容院での銃撃戦。いきなり始まるドンパチが『ソナチネ』の名場面のスナックでの銃撃シーンのようだ。

映画をあまり見ていない人からすると退屈と言われる長回し演出も、本作では各カットの最後に必ずオチが用意してあり、分かりやすくしてある。90年代のアジア監督たちの作品と比べると、ツァイ・ミンリャンほど1カットが長くはなく、エドワード・ヤンほどロングショットではなく、黒沢清より分かりやすく、北野武より事件が多い。このように程よい塩梅で娯楽映画として退屈しないように編集されている。
80~90年代に皆着ていたダサいボマージャケットを愛着する主人公。これを着るだけでダサいオッサン風になれる。おれは現在も愛着中…。

イイ顔もたくさん出てくる。映画で美男美女だけを出すのは田舎者とか第三世界のセンスだが、本作など洗練された作品では必ずイイ顔やダサい人が出てくる。短パン姿の刑事(笑)。

西瓜を食べながら仕事。

最近の犯罪映画で世界的に流行している、どうしようもなく殺風景なロケーション。延々と寒い景色がたくさん出てきて圧倒される(北陸の景色もこれほどじゃないが似ている)。犯罪映画で都会の繁華街とか出てきてもつまらない。



登場した瞬間、ドキッ♥としてしまった愛想ゼロのクリーニング屋の女。横顔が美しい。この胸の形を隠せない地味なセーターもいい。愛想が悪いのに急に抱きついてきたりする。この監督はちゃんと分かっていらっしゃる。映画の女優にはいつもは興味が無いのだが、この桂綸鎂には…。これほど女優にハマったのは高千穂ひづる以来だ。





常に水がピチャピチャ垂れる音がしているホテルの部屋のシーン。ツァイ・ミンリャン作品のようなテイスト。
中国では検閲があるのかベッドシーンが省略され、結果的にテンポが良くなっている。

映画館もちゃんと出てくる。



ネットカフェ(海外ではゲーセンの役割)のオンラインゲームで負けたのか、発狂する馬鹿。このようにギャグも豊富。

この作品を見ていて意外だったのが、中国の公安警察がちゃんと捜査もして証拠を固めて容疑者を逮捕するところ。いやあ、中国の警察ってとりあえず逮捕して、拷問して、自供させて、即銃殺だと思っていたから(偏見)、驚いた。
とにかく、必見の作品だ。
90年代に青春時代を過ごし、北野武映画や黒沢清映画、エドワード・ヤンやツァイ・ミンリャンの台湾映画を観てきた人間からすると、とても懐かしいテイストの映画だった。懐かしいと言ってもこの中国映画は2014年製作の最新作。

警察を辞めた主人公が長年気になっていた未解決事件を追うというストーリー。
警察を辞めるきっかけとなった場末の美容院での銃撃戦。いきなり始まるドンパチが『ソナチネ』の名場面のスナックでの銃撃シーンのようだ。

映画をあまり見ていない人からすると退屈と言われる長回し演出も、本作では各カットの最後に必ずオチが用意してあり、分かりやすくしてある。90年代のアジア監督たちの作品と比べると、ツァイ・ミンリャンほど1カットが長くはなく、エドワード・ヤンほどロングショットではなく、黒沢清より分かりやすく、北野武より事件が多い。このように程よい塩梅で娯楽映画として退屈しないように編集されている。
80~90年代に皆着ていたダサいボマージャケットを愛着する主人公。これを着るだけでダサいオッサン風になれる。おれは現在も愛着中…。

イイ顔もたくさん出てくる。映画で美男美女だけを出すのは田舎者とか第三世界のセンスだが、本作など洗練された作品では必ずイイ顔やダサい人が出てくる。短パン姿の刑事(笑)。

西瓜を食べながら仕事。

最近の犯罪映画で世界的に流行している、どうしようもなく殺風景なロケーション。延々と寒い景色がたくさん出てきて圧倒される(北陸の景色もこれほどじゃないが似ている)。犯罪映画で都会の繁華街とか出てきてもつまらない。



登場した瞬間、ドキッ♥としてしまった愛想ゼロのクリーニング屋の女。横顔が美しい。この胸の形を隠せない地味なセーターもいい。愛想が悪いのに急に抱きついてきたりする。この監督はちゃんと分かっていらっしゃる。映画の女優にはいつもは興味が無いのだが、この桂綸鎂には…。これほど女優にハマったのは高千穂ひづる以来だ。





常に水がピチャピチャ垂れる音がしているホテルの部屋のシーン。ツァイ・ミンリャン作品のようなテイスト。
中国では検閲があるのかベッドシーンが省略され、結果的にテンポが良くなっている。

映画館もちゃんと出てくる。



ネットカフェ(海外ではゲーセンの役割)のオンラインゲームで負けたのか、発狂する馬鹿。このようにギャグも豊富。

この作品を見ていて意外だったのが、中国の公安警察がちゃんと捜査もして証拠を固めて容疑者を逮捕するところ。いやあ、中国の警察ってとりあえず逮捕して、拷問して、自供させて、即銃殺だと思っていたから(偏見)、驚いた。
とにかく、必見の作品だ。
- 関連記事
カナザワ映画祭 関連書籍