お父さん、今回はマズイっすよ… 『96時間/レクイエム』
- 2015/01/30
- 08:00

もはや96時間でもなんでもないシリーズ第三作。原題は「TAKEN3」。
まあ2作目の段階ですでに96時間は関係ないのだが…。
第一作目は『ホステル』的な東欧の訳の分からない怖さとお父さんの怖さの激突で大変面白い作品だったが、二作目の内容がいまいち思い出せない。つまらないということはなかったと思うが。確かイスタンブールかどっかで娘と元妻が誘拐されるんだったっけか?
第三作目の今回は誰も誘拐さえされないので、リーアム・ニーソンの他作品と全然区別の付かない作品となっている。
そして、これまでの作品にあった「最悪の状況で、最善の行動」は影も形もなくなり、「話せば分かる状況で、最悪の行動」しか取らないリーアム・ニーソンに「もうちょっと考えてから動こうぜ」と言いたくなる。
リーアム・ニーソンの元妻の現夫が黒幕で元妻をカネのために殺害(三作続けて登場してたけどそんな悪い奴やったんかい?!)、復讐に燃えるリーアム・ニーソンのとばっちりを受ける警察とロシアン・マフィアが若干気の毒。
ロシアン・マフィアのボスには最近の映画で悪役ばかりのサム・スプルエル。変な髪型。
最後はブリーフ一丁でリーアム・ニーソンに挑み死亡。

イイ顔の刑事フォレスト・ウィテカー。

元妻の現夫。今まで目立たなかった奴がこんなに悪かったとは!

今回は何かスッキリしない話で、リーアム・ニーソンの暴走に全く説得力がない。あんなに巻き添えにしてお咎め無しとかあり得るのか? 激闘する警察とロシアン・マフィアも黒幕の地味な現夫に振り回されているだけなので、こちらもどう見ていていいのかわからない。元妻も元妻でそんなに良さそうな奴でもないし、死んでも、まあ、そうですかとしか感じない。
リーアム・ニーソンに孫ができてジ・エンドなので、次回作は赤ちゃんが誘拐されるのだろうか。その時は動機も充分なので、おじいちゃんとして思う存分暴走してほしい。敵はメキシコ人とか中国人がいいだろう。
このシリーズも五作六作と続くシリーズならば、今回の第三作も、「ああ、そういうのあったね」という珍作残念作として納得できると思うので、今後もシリーズを続けてほしい。リーアム・ニーソンはこのままセガールみたいになってもいいんじゃないかな。
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