エドワード・スノーデン騒動の密着ドキュメンタリー 「CITIZENFOUR」
- 2015/01/26
- 13:28

NSAの抜け忍エドワード・スノーデンの初メディア接触からモスクワ逃亡までを追ったドキュメンタリー。製作総指揮はスティーブン・ソダーバーグ。
エドワード・スノーデンの事はアメリカのNSAの全世界盗聴システムを暴露した人としか知らない。
元々、監督のローラ・ポイトラスはアメリカの全世界監視網についてのドキュメンタリーを製作中で、NSAの監視リストにも入っていたらしく、当時NSAの職員だったエドワード・スノーデンが目をつけてコンタクトしてきたという経緯が冒頭描かれる。
その時のスノーデンのメールのハンドル名が「CITIZENFOUR」。
スノーデンの香港での初インタビューから「いったいいくつカメラを回しているの?」というくらいカット割り多数で会話も切り返しで編集されている。音声もキッチリ繋がっているし、ドキュメンタリーというより劇映画を見ている気持ちになってくる。
画面の奥で鳴っているようなナイン・インチ・ネイルズの不協和音ミュージックも劇映画のような雰囲気(『ゴーンガール』の音楽にかなり似ている)を醸し出す。
寝癖が付いたままインタビューに答えるエドワード・スノーデン。まだメディア登場前なので普通の人。

このシーンで話が核心部分に行った時にタイミングよく変な電話がかかってきたり、ホテルの部屋の火災探知機が突然ジリジリリンリン鳴り出すのが怖い(というか映画の中で一番面白い部分だった)。変なタイミングで変な偶然って起きるときには起きるよね。思わず電話を不安そうに調べるスノーデン。神妙な顔のインタビュアー(特ダネ話を聞いているにも関わらず無表情、無反応で吉田豪のようなプロインタビュアーだ)。


そしてこのインタビューは数時間後、速攻で世界に発信される。
香港でも有名人に。

この日から窓の外が違った世界に見える感覚は映画を見ている観客にも共有できる。誰かから監視されている感覚。一つ間違えば電波系の妄想だがこれは現実だ。


有名になった途端急にイケメンになるスノーデン。やはり人はステージに立つと変わるのだろうか?

他の登場人物も俳優かというくらいイケメンというか雰囲気のある人ばかり。これは何なんだろうか?



電話もネットも何でも盗聴できるシステムの名前がPRISM(プリズム)とかTEMPORA(テンポラ)とかSFガジェットっぽい名前(ECHERONというのが日本にも青森にあるらしい。言いなりの日本政府はアメリカに抗議などしません)。スパイ映画のように香港→リオデジャネイロ→ベルリン→モスクワと舞台がめまぐるしく変わり、ドラマのような編集で、内容も荒唐無稽なので見ているうちにドキュメンタリーだということを忘れてくる。
アメリカとかによくある結論ありきの告発系社会派ドキュメンタリーとは一線を画す。
ラストはモスクワの部屋で筆談を交わすスノーデンとインタビュアー。ロシアは部屋に盗聴器設置という20世紀のオールドスクールな方法。アメリカのハイテクなネット盗聴とは対照的だ。

最後にスノーデンがあるメモをインタビュアーから渡されて、「That's Fucking ridiculous !」と珍しく汚い言葉を吐いて呆然とするのだが、そのメモの字が汚いし筆記体が苦手なので読めないのだけれど、なんて書いてあるのだろうか…?

「CITIZENFOUR」公式サイト
- 関連記事
カナザワ映画祭 関連書籍