最狂の過激派・イスラム国のプロパガンダ映画　『闘いの炎』

2015/01/23
19:00

何かと世間をお騒がせのIS（イスラム国）は、広報活動も盛んで、今風演出を施した吐き気を催すような処刑動画が有名だ。
その中でも極めつけの広報活動が、この新兵リクルート目的のプロパガンダ映画「Flames of War: Fighting Has Just Begun」だ。英語で見やすく製作されている（おそらくアメリカ人が英語ナレーションを担当している）。

まずアメリカを代表とする十字軍勢力の欺瞞を批判するメッセージが、ブッシュやオバマのスピーチのコラージュ編集とともに語られる。
アメリカの欺瞞についてはアメリカ以外の国の人にとっては常識だし敗戦国民なので、ここはまあこの映画を見る限りは、ISの主張にも納得。

「闘いは始まったばかりだ！」と宣言し、ここでタイトル。

次はシリアでのアサド政権の残虐ぶりを破壊された建物や一般市民や子どもたちの犠牲者の映像とともに説明。うんアサド政権は悪いなと、ここもこの映画を見る限りはISの主張に納得。

そのようなアッラーの教えに反する暴虐者たちに対して立ち上がったIS。世界各地から義勇兵が集結。白人や東アジア人もいる。友情を育む戦闘員たち。

欧米からは3000人以上参加してるようだ。中国からの参加も多いらしい。
先日は韓国からも引きこもりの未成年がISに参加するために中東に向かい消息を絶った。

そして、そんな戦士たちの激しい戦いや華々しい勝利の映像が続く。
先進国のジャーナリストよりも恐れ知らずなのか、カメラマンが本当に戦闘の真ん中にいて撮っているので、スゴい映像が続く。米軍の最強戦車M1 エイブラムスの砲塔がぐるりと回ってカメラのこちらを向いたりする…。
そんな戦車に肉弾攻撃を繰り返すIS戦闘員。RPGやIEDでの戦車狩りの映像が手に汗握る。

うわああ、ISスゲエ…と中二なら感動するだろう。おれもスゴいと思ってしまった。
オッサンがよく「おれは昔、悪かったあ」とか居酒屋でしょーもない武勇伝を語り、同席した若者をゲンナリさせるが、「おれは昔、戦車ふっ飛ばしたあ」とか言えたらマジでスゴすぎる。
もしかしてISに感化されるのか…？と不安になったが、この後に出てくる映像で若干正気に。

戦死したIS戦士たちの映像が出てきて、「彼ら英雄たちは天国へ行けたので幸せだ」と続く。
死体の顔はなぜか全員笑顔だ…。何か細工をしたのだろうか？

その後、ISの指導者バグダディ（おとなしい青年だったが、米軍の収容所で過激思想に染まったらしい。無理もない）の演説とISが支配地域で行政や農業などのインフラを整え、住民に歓迎されている映像が続く。
バグダディの演説を見ると、バグダディには知性と狂気という矛盾が同居したカリスマ性がある。

笑顔あふれるIS支配地域の住民たち。

やべえ、ISいいかも…と思った瞬間、住民の笑顔のカットから間髪入れず処刑シーンが始まり、ビックリ仰天、ドン引き映像が続きISはマジキチで間違いないと確信。
ISは敵には容赦しないという映像らしい…。
捕虜を地面に並べて、この画面の後にAK４７で一斉掃射…。

自分の墓を自分で掘らされる捕虜たち…。

掘り終えるとその前で正座をさせられて…。
「我々の闘いは始まったのだ！」と宣言し、全員射殺。

アメリカとその同盟国に対し「お楽しみはこれからだ」のメッセージで終了。

とまあ、映画は結構『スターシップ・トゥルーパーズ』に近い構成だ。

こんな話の通じない全方位を敵に回しているキチガイ集団（アルカイダとも戦争中）を不必要に挑発した安倍ちゃんは馬鹿なのだろうか？
それともA級戦犯の孫だけに何か野望でもあるのだろうか？
とりあえず日本人として言いたいのは、こんな中東の過激派と日本は本来直接関係ないので、無駄な挑発をするなと言いたい。
十字軍の連中に任しとけよ。日本は関係ない。
そもそもアルカイダもそうだが、ISもアメリカが生み出したと言っても過言ではない。
自分の尻は自分で拭かせるべきだ。

イスラム国の正体 (朝日新書)

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国枝昌樹朝日新聞出版 2015-01-13

新書「イスラム国の正体」によると、彼の地では武器取引のブラックマーケットが盛んで「武器＝カネ」という概念らしい。
自由シリア軍にアメリカ軍から供与された武器が廻り回って、イスラム国やシリア政府軍に渡り、自分たちへの攻撃に使われるということがよく起きるようだ。
こんな概念のある地域では「二億ドル援助します＝二億ドル分の武器援助します」ということになる。
二億ドルあれば大きな軍隊も作れるし、それで大勢も殺せる。ほとんど宣戦布告したも同然だ。
安倍ちゃんは馬鹿丸出しだ。

この本によれば人質も「商品」で、他の武装勢力が誘拐した人質を「転売」するなど日常茶飯事らしい。

「イスラム国の正体」に書いてあるエピソードで、イラク戦争の敗戦で職を失った旧イラク軍の将校が今はアメリカ傀儡の新政府で働いている友人に「職はないか？」と電話をかけてきたそうだ。当然その友人はその話を断った。それからしばらくして、その元将校から電話がきた。「今、自分はISの幹部だ。お前もそのうちナタでバラバラにしてやる」
このような私怨でISに参加する人間も多いのだろう。
フランスで雑誌社を襲ったフランス人のテロリスト兄弟も不遇な生い立ちのようだ。
韓国の引きこもり少年の例もあるし、そのうち日本人からも参加者が出てくるのではないだろうか？
チンケな新興宗教やカルトまがいの人物にハマる人たちが国内には昔から大勢いるので、ISに参加する日本人がいても全然不思議ではない。そんな連中が日本国内でテロを起こすというような悪夢的な事件が起きなければよいが…。

ISの旗はこの旗に似ているので世界中の中二病患者を惹きつけているのかもしれない。