病床読書日記③
- 2015/01/18
- 13:06
だんだん回復してきた。

「セメント怪談稼業」 松村進吉
普通の怪談実話から抜けよう抜けようと荒れ地でトッカンカッチン工事しているような本。
確かに怪談好きのこちらとしても、ここ5~6年の怪談本のリリース量は供給過多で、季節関係なしに毎月数冊出ている怪談実話本には実際のところ食傷している(でも好きなので買う)。
比較すると往年の怪談本どころかエポックの「新耳袋」や「「超」怖い話」レベルの怪談本は今やゴロゴロあると思う。
各書き手のレベルも高いと思う。
でも横並びでそういうのが増えると、正直飽きた。
読んでる間は引っかかりなく、まあ飽きずに読める。でも後に何も残らない。
後に何も残らないというのが怪談本ではとても問題だ。
心にザックリと傷跡を残すような怪談が読みたいという今日このごろ。
で、この「セメント怪談稼業」で提示される怪談の(「「超」怖い話」、「東京伝説」に続く)新ジャンルが個人的には「?」で、「それ怪談なんですか?」と疑問だけれど新しいチャレンジを眺めるのはとても面白い。
おそらく新ジャンルの種はすでに先人の目立たない仕事にあるのだろうけど、どれになるんだろうね。
具体的には狂人の独白をそのまま書き記すというものなのだけれど、「それ電波ですね」で終わる気が…。狂人の電波独白に第三者の観察が加わって、ほんの少しの説明不可能な怪異が提示されるとこちらとしても納得できるのだが。
いずれにせよ怖く怖くないはおいておいて(というか怖くない)、怪談本としてチャレンジングな本で面白いです。
この本のなかで一番怖かったのが、幽霊じゃなくて「第三の実話の件」(この章はキラーフレーズ満載で怪談としてよりも私小説として、また怪談実話批評としても面白い)の平山夢明さん。
いやあ、こんな怖い人だったとは…。今まで全然知らずに接してきました…。
「FKB懺・百物語」
こちらはオーソドックスな怪談本でたくさんの怪談作家さんたちが書いた実話を合わせて百話収録している。
ライトなテイストの暇つぶしにはもってこいの怪談本だ。
印象的なのは明神ちさとという人が書いている話。怪談というよりは少し前のめり過ぎる都市伝説系なのだが、他の上手で手慣れた書き手の人より少し下手くそなので逆に印象に残った。単著が読みたい。

「セメント怪談稼業」 松村進吉
普通の怪談実話から抜けよう抜けようと荒れ地でトッカンカッチン工事しているような本。
確かに怪談好きのこちらとしても、ここ5~6年の怪談本のリリース量は供給過多で、季節関係なしに毎月数冊出ている怪談実話本には実際のところ食傷している(でも好きなので買う)。
比較すると往年の怪談本どころかエポックの「新耳袋」や「「超」怖い話」レベルの怪談本は今やゴロゴロあると思う。
各書き手のレベルも高いと思う。
でも横並びでそういうのが増えると、正直飽きた。
読んでる間は引っかかりなく、まあ飽きずに読める。でも後に何も残らない。
後に何も残らないというのが怪談本ではとても問題だ。
心にザックリと傷跡を残すような怪談が読みたいという今日このごろ。
で、この「セメント怪談稼業」で提示される怪談の(「「超」怖い話」、「東京伝説」に続く)新ジャンルが個人的には「?」で、「それ怪談なんですか?」と疑問だけれど新しいチャレンジを眺めるのはとても面白い。
おそらく新ジャンルの種はすでに先人の目立たない仕事にあるのだろうけど、どれになるんだろうね。
具体的には狂人の独白をそのまま書き記すというものなのだけれど、「それ電波ですね」で終わる気が…。狂人の電波独白に第三者の観察が加わって、ほんの少しの説明不可能な怪異が提示されるとこちらとしても納得できるのだが。
いずれにせよ怖く怖くないはおいておいて(というか怖くない)、怪談本としてチャレンジングな本で面白いです。
この本のなかで一番怖かったのが、幽霊じゃなくて「第三の実話の件」(この章はキラーフレーズ満載で怪談としてよりも私小説として、また怪談実話批評としても面白い)の平山夢明さん。
いやあ、こんな怖い人だったとは…。今まで全然知らずに接してきました…。
「FKB懺・百物語」
こちらはオーソドックスな怪談本でたくさんの怪談作家さんたちが書いた実話を合わせて百話収録している。
ライトなテイストの暇つぶしにはもってこいの怪談本だ。
印象的なのは明神ちさとという人が書いている話。怪談というよりは少し前のめり過ぎる都市伝説系なのだが、他の上手で手慣れた書き手の人より少し下手くそなので逆に印象に残った。単著が読みたい。
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