病床読書日記
- 2015/01/16
- 23:00
子どものノロかなんかが感染ってしまい、ダウン中なので、病床でつらつらととりとめのない読書をした記録。
どれも同時読書のつまみ読みなので、あまり詳しく感想が書けない。というか細かく書く体力がない。

「暗黒映画評論 続悪魔が憐れむ歌」 高橋ヨシキ
本を送っていただきありがとうございます。
カッコいい表紙。
前著より本の厚さは少し薄くなったのかな?
『13日の金曜日』、『エルム街の悪夢』、『未来世紀ブラジル』、『エレファント・マン』、『悪魔のしたたり』について細かい文字でぎっしり書いてある。これはかなり力が入っています。
この本に書いてあるように『エルム街の悪夢』第一作は唯一無二の傑作で、観たことない人はすぐ観た方がいい。
作家評価されていない『13日の金曜日』についてあれほど長々と書かれた文章はなかったのでは? 観返してみたくなった。
また『未来世紀ブラジル』について通説とは違う観点からの見方も。
『悪魔のしたたり』は当時V-ZONEに紹介されているスチールを見て、小学生の目からはなんて汚らしい映画だ!なんて思えたが、後年見てみると楽しいコメディ映画だったので印象が変わった。そしてこの長い『悪魔のしたたり』評論を読むと、また違った観点から書かれており、また見たくなった。そして映画祭で上映したら楽しいのではないかと思った。
ナチスについてもたくさん書かれているが、こちらはアメリカなどの西側戦勝国史観というかありふれた通念なのがちょっと残念。東からドイツとソ連の関わりを見るともうちょっと違う見方ができるのでは?
「ありがとうございます。」 内田裕也
オモシロエピソード満載の裕也さんが出会った各界の偉人交流録。ジャニー喜多川やバーニング社長など一般に怖いイメージのある芸能界の黒幕多数登場。
裕也さん、力也さんと共にヤクザに拉致され、監禁場所でカレーを食べる。
裕也さん、唐十郎にヘッドロック。
裕也さん、スティーブン・タイラーにすき焼きを奢るカネがなかったため、湯豆腐を奢る。
裕也さん、ポスターの締め切りを守らない横尾忠則にブチ切れる。
裕也さん、オノ・ヨーコに「(ロックンローラーとして裕也さんが)何もしていない。ジョンもそう言っている」と言われブチ切れる。
勝新太郎、裕也さんの企画をひとつ潰した罪悪感からか晩年は「裕也が来る。裕也が来る」と夜うなされる。
岡田茂に「バカヤロー! こんなの映画になるか!」と「コミック雑誌なんかいらない!」を一蹴される。
ようやく完成させた「コミック雑誌なんかいらない!」をどこも上映してくれないなか、早稲田映研の異端派・裏映研が裕也さんに連絡を取り、大学の講堂で世界初プレミア上映。これは熱い話です。今ならカナザワ映画祭がそんな存在になりたいです。
しかし、未だに裕也さんを小馬鹿にして笑っているような奴らが多いのだけれど、
SEE 餌食
SEE 嗚呼!女たち猥歌
SEE 水のないプール
SEE 十階のモスキート
SEE コミック雑誌なんかいらない!
THEN SHUT THE FUCK UP
と言いたい。
「異形の明治」 新保祐司
タイトルに異形とあったので、ゲテモノ好きとして衝動チョイス。
そしたらこれが当たりだった。明治という時代を通念から解き放とうとしているゴツゴツした本で、明治をカオスで異常な時代と捉えて評伝している。
明治なのに坂本龍馬が全く取り上げられてないのもいい(坂本龍馬は友人の家で読むものがなかったため暇つぶしに漫画「竜馬がゆく」全巻読んだのにもかかわらず何をした奴かよく分からないし、竜馬好きの奴が嫌い)。
また、キラーフレーズ満載で、
通念から歴史や人物を断罪することを「小児病的見解」と呼んだりとか(今、こんなのばっかりだね)。
また、敢えて情報の洪水から距離をおいて思い込みで評伝を執筆する姿勢などを小林秀雄の文章を引用して取り上げている。引用の引用を下記に。
どれも同時読書のつまみ読みなので、あまり詳しく感想が書けない。というか細かく書く体力がない。

「暗黒映画評論 続悪魔が憐れむ歌」 高橋ヨシキ
本を送っていただきありがとうございます。
カッコいい表紙。
前著より本の厚さは少し薄くなったのかな?
『13日の金曜日』、『エルム街の悪夢』、『未来世紀ブラジル』、『エレファント・マン』、『悪魔のしたたり』について細かい文字でぎっしり書いてある。これはかなり力が入っています。
この本に書いてあるように『エルム街の悪夢』第一作は唯一無二の傑作で、観たことない人はすぐ観た方がいい。
作家評価されていない『13日の金曜日』についてあれほど長々と書かれた文章はなかったのでは? 観返してみたくなった。
また『未来世紀ブラジル』について通説とは違う観点からの見方も。
『悪魔のしたたり』は当時V-ZONEに紹介されているスチールを見て、小学生の目からはなんて汚らしい映画だ!なんて思えたが、後年見てみると楽しいコメディ映画だったので印象が変わった。そしてこの長い『悪魔のしたたり』評論を読むと、また違った観点から書かれており、また見たくなった。そして映画祭で上映したら楽しいのではないかと思った。
ナチスについてもたくさん書かれているが、こちらはアメリカなどの西側戦勝国史観というかありふれた通念なのがちょっと残念。東からドイツとソ連の関わりを見るともうちょっと違う見方ができるのでは?
「ありがとうございます。」 内田裕也
オモシロエピソード満載の裕也さんが出会った各界の偉人交流録。ジャニー喜多川やバーニング社長など一般に怖いイメージのある芸能界の黒幕多数登場。
裕也さん、力也さんと共にヤクザに拉致され、監禁場所でカレーを食べる。
裕也さん、唐十郎にヘッドロック。
裕也さん、スティーブン・タイラーにすき焼きを奢るカネがなかったため、湯豆腐を奢る。
裕也さん、ポスターの締め切りを守らない横尾忠則にブチ切れる。
裕也さん、オノ・ヨーコに「(ロックンローラーとして裕也さんが)何もしていない。ジョンもそう言っている」と言われブチ切れる。
勝新太郎、裕也さんの企画をひとつ潰した罪悪感からか晩年は「裕也が来る。裕也が来る」と夜うなされる。
岡田茂に「バカヤロー! こんなの映画になるか!」と「コミック雑誌なんかいらない!」を一蹴される。
ようやく完成させた「コミック雑誌なんかいらない!」をどこも上映してくれないなか、早稲田映研の異端派・裏映研が裕也さんに連絡を取り、大学の講堂で世界初プレミア上映。これは熱い話です。今ならカナザワ映画祭がそんな存在になりたいです。
しかし、未だに裕也さんを小馬鹿にして笑っているような奴らが多いのだけれど、
SEE 餌食
SEE 嗚呼!女たち猥歌
SEE 水のないプール
SEE 十階のモスキート
SEE コミック雑誌なんかいらない!
THEN SHUT THE FUCK UP
と言いたい。
「異形の明治」 新保祐司
タイトルに異形とあったので、ゲテモノ好きとして衝動チョイス。
そしたらこれが当たりだった。明治という時代を通念から解き放とうとしているゴツゴツした本で、明治をカオスで異常な時代と捉えて評伝している。
明治なのに坂本龍馬が全く取り上げられてないのもいい(坂本龍馬は友人の家で読むものがなかったため暇つぶしに漫画「竜馬がゆく」全巻読んだのにもかかわらず何をした奴かよく分からないし、竜馬好きの奴が嫌い)。
また、キラーフレーズ満載で、
通念から歴史や人物を断罪することを「小児病的見解」と呼んだりとか(今、こんなのばっかりだね)。
また、敢えて情報の洪水から距離をおいて思い込みで評伝を執筆する姿勢などを小林秀雄の文章を引用して取り上げている。引用の引用を下記に。
これはその通りですな。かつての書物だけの時代ですらこうなのだから、現代のネット時代ではそれ以上の情報の過剰だ。一つの映画についてもネットなどで調べると余りにも作品情報やウンチクが供給過剰で「はいはい、もう分かったよ」となってしまう。そんな中でそういう情報だけを拾ってきて羅列した映画評論はつまらないし、役にも立たない。その作品を観た人がどう感じたかだけが重要なのではないだろうか? その作品に対する情報などはこっちで勝手に調べれるのでそんなことダラダラ書く必要ないよと解答用紙のような映画評論に言いたい。そんな中、「映画の生体解剖」のような個人的妄想から語られる、ある種野蛮な映画評論はとても貴重だ。「驚くべき情報の過剰が、今日の歴史家を苦しめてゐる。ランケの勤労もギボンの明敏も、これには参つてゐる。この事実に深く思ひを致すなら、現代の歴史家に、先づどうあっても必要なことは、情報に関する無知ではないかと言ふのである。」
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