4DXを超えるギミック?が凄かった『残穢 ‐住んではいけない部屋‐』
- 2016/02/09
- 23:35
メタフィクションな小野不由美の原作『残穢』を映画化。

原作本の方は序盤の地味な怪奇現象が続く展開でどうしても何度読んでも興味が続かなくて積読していたが(似たような構成の小説では三津田信三の「百蛇堂 怪談作家の語る話」の方が面白いかな)、その後周りの知人の皆さんが絶賛しているので、読み進めると平山夢明さんと福澤徹三さん登場から俄然ドライブがかかり一気読みできた。
ただ、原作本はあまり怖さを感じなかった。ここ10年以上、とりあえず出る怪談本は全て買い漁って読んでいる怪談ジャンキーなので、この辺は感覚が麻痺しているのかもしれない(しかし、怪談本はかつての勢いが衰えてあまり面白い本が最近はないなあ)。
ストーリーは、「私」が怪談の執筆を切っ掛けに闇の世界に飲み込まれる話。穢(ケガレ)から広がる祟り(たたり)が全方位に拡散していく。
映画上映前から館内に木枯らしのような吹きすさぶ風の音が聞こえていて、「なんだろうこれ?隙間風か?」とこの映画館では初めての体験。予告編の間も風の音が聞こえていた。
『残穢』本編では怪奇現象の場面で風の音が聞こえるのだが、上映前や予告編の時に聞こえる風の音は映画本編を盛り上げるためのギミックだったのだろうか? だとしたら斬新でスゴい。ウィリアム・キャッスルの現代版と呼んでも差支えのないほど効果的だったと思う。
また本編で怪奇現象の出ない何でもない場面で赤ん坊の泣く声が後ろから突然聞こえてきて大層驚いたのだが、あれも上手なサラウンド効果だ。
このようにとても音に凝っていた映画で、爆音上映にとても向いていると思う。
そして、この映画のギミック効果は自宅まで付いて来たのでスゴいと思った。
主人公の私(竹内結子の演技がいい。『いま、会いにゆきます』のユルフワが信じられないほど、中年のちょっとギスギスした作家になりきっていた)の家の玄関で誰も居ないのに照明センサーが反応して電気がつく場面があるのだが、この映画を観た日の夜、うちの家の玄関の照明センサーも誰も居ないのにやたら反応して何度も電気が付いていた。
いやあ、どんな仕組みか分からないが、これはビックリ。
原作本の方も実在の人物などが出てきて、本の内容が現実世界に染み出してくる内容だったが、映画の方も映画本編の枠からはみ出してくるギミックが大層効果的だった。
原作本より映画のほうが怖い珍しい作品だ。
また、福澤徹三氏による「残穢」後日談のような実話怪談も奇妙なシンクロニシティが描かれ、「残穢」の世界が現実に侵食してくる様子が描かれていてとても怖い。怪談雑誌「幽」の最新号に掲載中。

原作本の方は序盤の地味な怪奇現象が続く展開でどうしても何度読んでも興味が続かなくて積読していたが(似たような構成の小説では三津田信三の「百蛇堂 怪談作家の語る話」の方が面白いかな)、その後周りの知人の皆さんが絶賛しているので、読み進めると平山夢明さんと福澤徹三さん登場から俄然ドライブがかかり一気読みできた。
ただ、原作本はあまり怖さを感じなかった。ここ10年以上、とりあえず出る怪談本は全て買い漁って読んでいる怪談ジャンキーなので、この辺は感覚が麻痺しているのかもしれない(しかし、怪談本はかつての勢いが衰えてあまり面白い本が最近はないなあ)。
ストーリーは、「私」が怪談の執筆を切っ掛けに闇の世界に飲み込まれる話。穢(ケガレ)から広がる祟り(たたり)が全方位に拡散していく。
映画上映前から館内に木枯らしのような吹きすさぶ風の音が聞こえていて、「なんだろうこれ?隙間風か?」とこの映画館では初めての体験。予告編の間も風の音が聞こえていた。
『残穢』本編では怪奇現象の場面で風の音が聞こえるのだが、上映前や予告編の時に聞こえる風の音は映画本編を盛り上げるためのギミックだったのだろうか? だとしたら斬新でスゴい。ウィリアム・キャッスルの現代版と呼んでも差支えのないほど効果的だったと思う。
また本編で怪奇現象の出ない何でもない場面で赤ん坊の泣く声が後ろから突然聞こえてきて大層驚いたのだが、あれも上手なサラウンド効果だ。
このようにとても音に凝っていた映画で、爆音上映にとても向いていると思う。
そして、この映画のギミック効果は自宅まで付いて来たのでスゴいと思った。
主人公の私(竹内結子の演技がいい。『いま、会いにゆきます』のユルフワが信じられないほど、中年のちょっとギスギスした作家になりきっていた)の家の玄関で誰も居ないのに照明センサーが反応して電気がつく場面があるのだが、この映画を観た日の夜、うちの家の玄関の照明センサーも誰も居ないのにやたら反応して何度も電気が付いていた。
いやあ、どんな仕組みか分からないが、これはビックリ。
原作本の方も実在の人物などが出てきて、本の内容が現実世界に染み出してくる内容だったが、映画の方も映画本編の枠からはみ出してくるギミックが大層効果的だった。
原作本より映画のほうが怖い珍しい作品だ。
また、福澤徹三氏による「残穢」後日談のような実話怪談も奇妙なシンクロニシティが描かれ、「残穢」の世界が現実に侵食してくる様子が描かれていてとても怖い。怪談雑誌「幽」の最新号に掲載中。
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