死体がスーパーリアルな塚本晋也版『野火』
- 2015/07/01
- 10:50
日本初の一般上映ということで先週木曜日にシネモンドで鑑賞(感想が遅れたのは「FURY ROAD」ショックのPTSDが原因)。映画は野菜や魚と同じで旬のものなので、一番最初に上映!というのはとても重要である。また上映後に塚本監督のトークもあった。トークイベントでは個人的に大嫌いな(もれなくつまらない)客席とのQ&Aもなくタイトだったと思う。

出てくる屍が臭ってきそうなほどスゴいリアルだったので、さぞかし高名な特殊メイクアーティストの人が担当しているのかと思ったら、有志のボランティアによるDIYと聞いて驚いた。
あの死体のリアルさは世界的に見ても現代映画のトップレベルだと思う。
またメイクと衣装もスゴい。これも本当に臭ってきそう。
また音響も完全に爆音仕様でとても凝った作り。
と、思ったら早速本日東京で、「『野火』爆激上映&轟音ライブイベント」なるイベントが開催されるらしい。
(しかし、「爆激」、「轟音」か…。「轟音」はライブらしいけど、爆激上映とか轟音上映とか極上爆音上映とか「爆音上映©boid」のコピーネーミングが氾濫してるな…。あとは何が出てくるんだろうか「超爆音」?)
ちょっと気になったのは、演技がよくある時代劇的な軍人演技で力が入り過ぎのような気がした。市川崑版『野火』では、若干力の抜けた軍人たちの演技が逆にリアルだった。あの当時はまだ実際の戦争を知っている人たちが多かっただろうし、ああいうもん(「やってられねえなー、もうアメさんに降伏するか?」とか)だったのではないだろうか?
戦争に近い時代の戦争映画の方があまり肩に力が入っていないところが非常に良い。アメリカ映画でもナチスというかドイツ軍が悪鬼のように描かれだしたのは80年代に入ってから)
原作は家にあったので昔々に読んだけど、正直あんまり覚えていない。大岡昇平は「俘虜記」の方が印象深い。何度も読んだ。
また、映像がHDビデオカメラの見るからにビデオ画像(後期若松作品のような)なのも気になった。あれは敢えてああいう画質にしたのか、予算の関係(資金集めに大変苦労したらしい)なのか分からないけど、もうちょっと何とかならなかったのかなと思う。でも、あの高解像度ビデオ画像で見てもリアルな死体はとても凄いクオリティーだ。
J.G.バラードは戦争映画TOP3に、市川崑版『野火』を入れていたが(他の二作品は『無防備都市』と『炎628』)、その市川崑版に勝るとも劣らない作品だ。ショッキング度(死体だけでなく人体破壊シーンも多い)でいえば上を行っている。
できれば、この作品は土曜昼間のテレビ放映か、野外上映(野外は面白いだろうなあ)をして、子どもたちを不意打ちして欲しいと思う。
優れた戦争映画(戦争ゲーム)はあからさまな反戦メッセージなど入れなくても、「うわあ、戦争行きたくねえ…」と思わせてくれる。

出てくる屍が臭ってきそうなほどスゴいリアルだったので、さぞかし高名な特殊メイクアーティストの人が担当しているのかと思ったら、有志のボランティアによるDIYと聞いて驚いた。
あの死体のリアルさは世界的に見ても現代映画のトップレベルだと思う。
またメイクと衣装もスゴい。これも本当に臭ってきそう。
また音響も完全に爆音仕様でとても凝った作り。
と、思ったら早速本日東京で、「『野火』爆激上映&轟音ライブイベント」なるイベントが開催されるらしい。
(しかし、「爆激」、「轟音」か…。「轟音」はライブらしいけど、爆激上映とか轟音上映とか極上爆音上映とか「爆音上映©boid」のコピーネーミングが氾濫してるな…。あとは何が出てくるんだろうか「超爆音」?)
ちょっと気になったのは、演技がよくある時代劇的な軍人演技で力が入り過ぎのような気がした。市川崑版『野火』では、若干力の抜けた軍人たちの演技が逆にリアルだった。あの当時はまだ実際の戦争を知っている人たちが多かっただろうし、ああいうもん(「やってられねえなー、もうアメさんに降伏するか?」とか)だったのではないだろうか?
戦争に近い時代の戦争映画の方があまり肩に力が入っていないところが非常に良い。アメリカ映画でもナチスというかドイツ軍が悪鬼のように描かれだしたのは80年代に入ってから)
原作は家にあったので昔々に読んだけど、正直あんまり覚えていない。大岡昇平は「俘虜記」の方が印象深い。何度も読んだ。
また、映像がHDビデオカメラの見るからにビデオ画像(後期若松作品のような)なのも気になった。あれは敢えてああいう画質にしたのか、予算の関係(資金集めに大変苦労したらしい)なのか分からないけど、もうちょっと何とかならなかったのかなと思う。でも、あの高解像度ビデオ画像で見てもリアルな死体はとても凄いクオリティーだ。
J.G.バラードは戦争映画TOP3に、市川崑版『野火』を入れていたが(他の二作品は『無防備都市』と『炎628』)、その市川崑版に勝るとも劣らない作品だ。ショッキング度(死体だけでなく人体破壊シーンも多い)でいえば上を行っている。
できれば、この作品は土曜昼間のテレビ放映か、野外上映(野外は面白いだろうなあ)をして、子どもたちを不意打ちして欲しいと思う。
優れた戦争映画(戦争ゲーム)はあからさまな反戦メッセージなど入れなくても、「うわあ、戦争行きたくねえ…」と思わせてくれる。
「最高の戦争映画が描くヴィジョンは荒涼と無意味さと絶望だ」 J.G.バラード
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