田舎ホラー考①

自分の中で約10年にわたってオブセッションになっている「田舎ホラー」。
mixiでこんなコミュを作って放置し、
田舎ホラー

かなざわ映画の会の第一弾イベントもこういうのだった。


2011年にもこういう特集をやった。
バイオレンスin田舎

田舎ホラーってのは自分で言ってるだけのジャンル名なんだが、なかなか定義付けが難しい。
田舎ホラー純度１００％で、おそらくこのジャンルの始祖である『脱出』は少なくともホラー映画ではないので、田舎ホラーと呼ぶよりも田舎スリラーと呼んだほうがいいのだろうけど、田舎スリラーの語呂よりは田舎ホラーの方がキャッチーなのでネーミングが難しいところだ。『イージーライダー』でいきなり通りがかりにショットガンをぶっ放してくる百姓が出てきたけど、あれがまさに田舎ホラーの瞬間だ。でも『イージーライダー』はホラーではない。スリラーの方が言葉の意味は広いからイイのかもなあ…。

アメリカでは、ヒルビリー映画とかレッドネック映画などと呼ばれているが、ヒルビリーもレッドネックも北米の田吾作の呼称なので、例えばオーストラリアの『ウルフクリーク』（オーストラリではああいう人をヴォーガンズと呼ぶらしい）は入れないし、ベルギーの『変態村』も入れない。イギリスの『ウィッカーマン』しかり。でもどの作品も間違いなく田舎ホラーだ。その他にbackwoods（辺境、僻地、未開地）ホラーという呼び方もされてるが、この呼び方はしっくりくる。やっぱり日本で云うなら田舎ホラーでいいかも。

アメリカでは狂った田吾作が襲ってくるのはポピュラーなことらしく、ゲームにも度々登場している。
知的障害のレッドネックを操作して宇宙人と戦う「Redneck Rampage」




超人気RPG「フォールアウト３」に登場するスワンプフォークス。沼地の小屋に住み、人肉が好物でメチャクチャ強い。




田舎ホラー特集（仮）を今年やるにあたって色々と見返しているのだけれどセレクションが難しい。

『デビルズ・リジェクト』
田舎ホラーのようだが、その要素が薄い作品。もしこれを田舎ホラーと呼べるなら『ナチュラル・ボーン・キラーズ』も田舎ホラーになる。西部劇として見ると面白いかも。でもロブ・ゾンビ作品はなぜか自分には合わない。キチガイ一家が黒人とつるんでいるのもマイナス。同一人種以外とは付き合わないのが田舎ホラー的には好ましい。よって却下。

『マザーズ・デイ』
マザコンの兄弟と母ちゃん。「こっから先は行っちゃならねえ、引き返せ」と忠告する雑貨屋のオヤジ。雑貨屋の前でバンジョーを弾く少年たちなどの田舎ホラー要素もあるが、田舎ホラーよりもガール・リベンジ物として見た方が面白い。前半のしょーもないギャグシーンが後半の残酷な展開の良いスパイスになっている。日本の漫画で「はじけて！ザック」とか田中宏の作品も最初にしょーもないギャグシーンがあって、後で凄惨な場面が出てくるので、とてもショックを受ける。使える良い手法だと思う。
面白い作品だけど田舎ホラー濃度は薄いので却下。

『悪魔のえじき」
都会から来た清楚な文系美女が、田舎のDQNに何度も陰湿に犯され、いたぶられる。前半のDQNの描写が田舎ホラーだが、後半のリベンジ展開でその濃度は薄まる。田舎ホラーというよりはガール・リベンジ物として見た方が面白い。『デス・プルーフ』、『ドラゴン・タトゥーの女』と一緒に上映すると面白いかも。どれも最後はエンジンの疾走と共に復讐するのでドライヴ感満載だ。よって田舎ホラーとしては却下。