ドローン(無人攻撃機)プレイヤー映画二本立て『ドローン・オブ・ウォー』と『ドローン 無人爆撃機』
- 2015/04/13
- 13:06
イーサン・ホーク主演「GOOD KILL」。監督は『ガタカ』でもイーサン・ホークとコンビを組んだアンドリュー・ニコル。
ドローン攻撃の倫理性に悩むプレイヤーを描いたA級作品。

ラスベガス近郊の空軍基地のドローン操縦室から、ドローンをキーボードとフライトスティックを使って操縦し、毎日アフガンのタリバンを攻撃。

1日に平均10人くらい殺しているので、アメリカン・スナイパーどころではない殺害数だ。
「ロックオン、ターゲット」

フライトスティック(ゲームのとほとんど変わらない)をカチッ。

ボーン!

「はい、お疲れ様です~」9時17時の仕事。

マイカー通勤。

仕事帰りにお買い物。
店員 「今日はどうでした?」
イーサン・ホーク 「アフガンのタリバンをやっつけたよ」
店員 「え? またまた~(苦笑)」

子どものお迎えに行ってから、郊外のマイホームに帰る。

子どもが遊んでいるXBOXのFPSゲーム。パパのお仕事も似たようなもの。でも、人が本当に死ぬけど。

週末はご近所さんとBBQパーティー。

何というか異常な日常だと思う。これが実際に行われているのだから怖い。
ある日、いつものように悪いタリバンを吹っ飛ばそうとロックオン。

ミサイル発射。あっ!子どもたちがやって来た! そこは危ないよ!

ドカーン。


子どもを殺して悩むイーサン・ホークに上官が慰める。
「しょうがない。こういうこともある」

まあでも、アメリカン・スナイパーもそうだったが、そんなに大して悩んでない。犬猫轢いたドライバーより悩んでいないかもしれない。アメ公の理屈は「野蛮人は野蛮人だ。あそこにあの時にいた子どもが悪い」(しかし、アメ公には腹が立つなあ…。いまだに原爆も正当化していやがる無神経どもだ)。子どもは何も悪いことはしていないのに可哀想だ。
その証拠に子どもを殺したことよりも、自分の子どものお迎えが気になって仕事中にメールで嫁にご機嫌取り。

メールを打った後にミサイルを撃ってドカーン。左側の暗い服を着た男一人がターゲットだけど巻き添えで20人殺害。GOOD KILL!

レッドブルを飲みながら、お葬式もドカーン。40人殺害。GOOD KILL!


攻撃した後に破壊された建物に救助に集まってきた人たちを狙ってもう一発ドカーン。GOOD KILL! これは完全に戦争犯罪。

仕事が終った後は同僚とラスベガスに繰り出す。いやあイイご身分だ。

まあ、でも一応非情な命令には不本意に従っているので色々悩んでいるらしい。だって十字架を写しているもの。

で、『アメリカン・スナイパー』みたいに主人公は死んでいないし、危険な目に遭うわけでもない(椅子に座ってのデスクワーク)ので、どう映画を終わらすのかと思いきや、同僚を操縦室から閉めだして、ドローンを使って勝手にアフガンで私的パトロール活動をしだした! 映画の冒頭から伏線で、暗殺ターゲットではないけれどある女の人をいつもレイプする男をイーサン・ホークはモニター越しに見ていて義憤にかられていたのだ。私的パトロールは危ねえ!(でも映画の展開としてはこれは面白い。いっその事この展開から映画を始めてくれたほうが良かったのでは? 「正義に燃えるキチガイがドローンを乗っ取って勝手にパトロールを始めた!」なんて映画があったら最高じゃないか)

最後は「正しいことをした」みたいな晴れやかな顔で去るイーサン・ホーク。いやあ、それは違うだろ…。というかアメリカ自体が世界中で勝手に自警団活動しているから、俺たちは困っているんだけど? おい、アメ公、そこんところ分かってるのか?

アメリカ人以外の国々の人たちを代表してここでアメ公に一言云いたい。
「PLEASE STAY IN USA, LEAVE US ALONE」
映画は面白いです。
「GOOD KILL」予告編
*
二本目の『ドローン 無人爆撃機(原題「Drones」)』はB級作品でキャストも知らない顔。展開も「GOOD KILL」と比べて非常に地味。そして、この詐欺的日本版ビジュアルデザイン。ここに出ている要素は全て本編には出てきません…。なぜなら主要登場人物がほぼ二人だけ(プラス、モニターの上官)の室内劇なので…。

一つのタリバン幹部の暗殺作戦について、このお部屋でズーーッと撃つとか撃たないとか椅子に座ってモニターを見ながら、議論し、もめてドラマが続く。重要な暗殺ターゲットが誕生日会にいて、子供や老人、女性も同席しているので、攻撃するのをためらう女性操縦士と撃つのに賛成な男性操縦士が揉めるだけの1時間半。

こういうタルい展開見ていると、「早く撃っちまえよこんなモン、早く撃てオラ!」と北野武映画の寺島進の気分になる。「GOOD KILL」は殺しまくるので、殺しちゃダメ!と思ったが…。

いつまで揉めてんだ?(欠伸) ZzZZZzzzzZZZZZ…。 はあ~あ(欠伸して起きる)、…あれ? まで撃ってなかったのか? 最後まで引っ張る気か? つまらねえ! 上映時間が80分以下だけどほとんど部屋しか映らないので二時間以上に感じた。

空の上から覗かれていることも知らずにブランコで子どもたちと遊ぶタリバン幹部のオジさん。殺す殺さないの議論を海を越えて遠くにいるアメリカ人に勝手にされている。情に流されて撃てない操縦士の代わりにAI(人工知能)を導入してはどうかな? 撃つ撃たないの判断をコンピューターに委ねれば兵士もストレスに悩まなくて済むのではないだろうか。…ってそれはまさに悪魔の兵器だな。怖すぎる。

『ドローン 無人爆撃機』予告編
ドローンについて詳しくは↓こういう本も出ています。これはまだ読んでいないので是非読んでみたい。倫理性についてはどう書かれているのだろうか。
そういえば、カナザワ映画祭2011でドローン含むロボット兵器のドキュメンタリー『リモート・コントロール・ウォー』を上映したけど、最先端技術を使用した21世紀の野蛮というトピックで絶対必要だったテーマだった。でも、こういうロボット兵器は日本人向きかもしれない。間違えで殺しても、「ソフトウェアの不具合で…遺憾に思います。今後このような間違いは起こさないよう誠心誠意努めてまいります」とか何とかテキトーに言い訳できるし、誰も責任をとらなくていいので日本人に向いている。

ドローン攻撃の倫理性に悩むプレイヤーを描いたA級作品。

ラスベガス近郊の空軍基地のドローン操縦室から、ドローンをキーボードとフライトスティックを使って操縦し、毎日アフガンのタリバンを攻撃。

1日に平均10人くらい殺しているので、アメリカン・スナイパーどころではない殺害数だ。
「ロックオン、ターゲット」

フライトスティック(ゲームのとほとんど変わらない)をカチッ。

ボーン!

「はい、お疲れ様です~」9時17時の仕事。

マイカー通勤。

仕事帰りにお買い物。
店員 「今日はどうでした?」
イーサン・ホーク 「アフガンのタリバンをやっつけたよ」
店員 「え? またまた~(苦笑)」

子どものお迎えに行ってから、郊外のマイホームに帰る。

子どもが遊んでいるXBOXのFPSゲーム。パパのお仕事も似たようなもの。でも、人が本当に死ぬけど。

週末はご近所さんとBBQパーティー。

何というか異常な日常だと思う。これが実際に行われているのだから怖い。
ある日、いつものように悪いタリバンを吹っ飛ばそうとロックオン。

ミサイル発射。あっ!子どもたちがやって来た! そこは危ないよ!

ドカーン。


子どもを殺して悩むイーサン・ホークに上官が慰める。
「しょうがない。こういうこともある」

まあでも、アメリカン・スナイパーもそうだったが、そんなに大して悩んでない。犬猫轢いたドライバーより悩んでいないかもしれない。アメ公の理屈は「野蛮人は野蛮人だ。あそこにあの時にいた子どもが悪い」(しかし、アメ公には腹が立つなあ…。いまだに原爆も正当化していやがる無神経どもだ)。子どもは何も悪いことはしていないのに可哀想だ。
その証拠に子どもを殺したことよりも、自分の子どものお迎えが気になって仕事中にメールで嫁にご機嫌取り。

メールを打った後にミサイルを撃ってドカーン。左側の暗い服を着た男一人がターゲットだけど巻き添えで20人殺害。GOOD KILL!

レッドブルを飲みながら、お葬式もドカーン。40人殺害。GOOD KILL!


攻撃した後に破壊された建物に救助に集まってきた人たちを狙ってもう一発ドカーン。GOOD KILL! これは完全に戦争犯罪。

仕事が終った後は同僚とラスベガスに繰り出す。いやあイイご身分だ。

まあ、でも一応非情な命令には不本意に従っているので色々悩んでいるらしい。だって十字架を写しているもの。

で、『アメリカン・スナイパー』みたいに主人公は死んでいないし、危険な目に遭うわけでもない(椅子に座ってのデスクワーク)ので、どう映画を終わらすのかと思いきや、同僚を操縦室から閉めだして、ドローンを使って勝手にアフガンで私的パトロール活動をしだした! 映画の冒頭から伏線で、暗殺ターゲットではないけれどある女の人をいつもレイプする男をイーサン・ホークはモニター越しに見ていて義憤にかられていたのだ。私的パトロールは危ねえ!(でも映画の展開としてはこれは面白い。いっその事この展開から映画を始めてくれたほうが良かったのでは? 「正義に燃えるキチガイがドローンを乗っ取って勝手にパトロールを始めた!」なんて映画があったら最高じゃないか)

最後は「正しいことをした」みたいな晴れやかな顔で去るイーサン・ホーク。いやあ、それは違うだろ…。というかアメリカ自体が世界中で勝手に自警団活動しているから、俺たちは困っているんだけど? おい、アメ公、そこんところ分かってるのか?

アメリカ人以外の国々の人たちを代表してここでアメ公に一言云いたい。
「PLEASE STAY IN USA, LEAVE US ALONE」
映画は面白いです。
「GOOD KILL」予告編
*
二本目の『ドローン 無人爆撃機(原題「Drones」)』はB級作品でキャストも知らない顔。展開も「GOOD KILL」と比べて非常に地味。そして、この詐欺的日本版ビジュアルデザイン。ここに出ている要素は全て本編には出てきません…。なぜなら主要登場人物がほぼ二人だけ(プラス、モニターの上官)の室内劇なので…。

一つのタリバン幹部の暗殺作戦について、このお部屋でズーーッと撃つとか撃たないとか椅子に座ってモニターを見ながら、議論し、もめてドラマが続く。重要な暗殺ターゲットが誕生日会にいて、子供や老人、女性も同席しているので、攻撃するのをためらう女性操縦士と撃つのに賛成な男性操縦士が揉めるだけの1時間半。

こういうタルい展開見ていると、「早く撃っちまえよこんなモン、早く撃てオラ!」と北野武映画の寺島進の気分になる。「GOOD KILL」は殺しまくるので、殺しちゃダメ!と思ったが…。

いつまで揉めてんだ?(欠伸) ZzZZZzzzzZZZZZ…。 はあ~あ(欠伸して起きる)、…あれ? まで撃ってなかったのか? 最後まで引っ張る気か? つまらねえ! 上映時間が80分以下だけどほとんど部屋しか映らないので二時間以上に感じた。

空の上から覗かれていることも知らずにブランコで子どもたちと遊ぶタリバン幹部のオジさん。殺す殺さないの議論を海を越えて遠くにいるアメリカ人に勝手にされている。情に流されて撃てない操縦士の代わりにAI(人工知能)を導入してはどうかな? 撃つ撃たないの判断をコンピューターに委ねれば兵士もストレスに悩まなくて済むのではないだろうか。…ってそれはまさに悪魔の兵器だな。怖すぎる。

『ドローン 無人爆撃機』予告編
ドローンについて詳しくは↓こういう本も出ています。これはまだ読んでいないので是非読んでみたい。倫理性についてはどう書かれているのだろうか。
無人暗殺機 ドローンの誕生 (文春e-book)[Kindle版]
posted with ヨメレバ
リチャード・ウィッテル 文藝春秋 2015-03-06

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