カナザワ映画祭2021ラインナップ発表!!
- 2021/07/09
- 09:00
カナザワ映画祭2021
会期:9月18日(土)~20日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館シアター21

★名監督が期待の新人だった頃
映画史の殿堂に燦然と輝く名監督たち。彼らにも新人だった頃があった。ジョージ・ミラー、リドリー・スコット、トビー・フーパー、ジョージ・A・ロメロが若かりし頃に撮った自主映画を特集する。
『バイオレンス・イン・ザ・シネマ パート1』
1971年/オーストラリア/20分
監督・脚本:ジョージ・ミラー
製作・撮影・編集:バイロン・ケネディ
出演:アーサー・デナム
「映画における暴力表現」の講義は博士の狂気により学術的説明から実践的実験にエスカレートする。ニューサウスウェールズ大学在学中にジョージ・ミラーは後に一緒に『マッドマックス1,2』を製作するプロデューサーのバイロン・ケネディ(『マッドマックス3 サンダードーム』の撮影前にヘリコプター事故で惜しくも夭折する)と出会い、この短編を自主制作し映画作りにのめり込むことになる。日本初公開。

KENNEDY MILLER MITCHELL、NATIONAL FILM AND SOUND ARCHIVE OF AUSTRALIA
ジョージ・ミラー
1945年オーストラリア・クイーンズランド州生まれ。長編第1作『マッドマックス』でデビューし、『マッドマックス2』で世界的な監督となった。その後もハリウッドで活躍し、近年は『マッドマックス 怒りのデスロード』が大ヒット。現在は『マッドマックス』シリーズの新作『FURIOSA』を製作中。

少年と自転車
1965年/イギリス/27分
監督・脚本・撮影・編集:リドリー・スコット
音楽:ジョン・バリー
出演:トニー・スコット
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ在学中のリドリー・スコットが弟のトニー・スコット(のちに同じく監督となり『トップガン』、『トゥルーロマンス』、『クリムゾンタイド』、『アンストッパブル』などハリウッド大作を精力的に撮り続けたが惜しくも2012年に亡くなる)を主演に撮った初めての映画。父親からもらったわずか65ポンド(一万円)を使い手持ちの16ミリカメラで実家の周りで撮影した。

British Film Institute
リドリー・スコット
1937年イギリスダーハム郡生まれ。CM業界で活躍後、長編『デュエリスト』で商業デビューし、二作目の『エイリアン』で世界的監督となる。その後『ブレードランナー』、『ブラックレイン』、『テルマ&ルイーズ』、『グラディエーター』、『ブラックホークダウン』、『悪の法則』、『プロメテウス』など現在も精力的に映画製作を続けている。

エッグシェルズ
1969年/アメリカ/89分
監督・製作・脚本・撮影・編集:トビー・フーパー
出演:マーロン・フォアマン、キム・ヒンケル
テキサスでドラッグのバッドトリップに明け暮れる若者たちをシュールに描いた青春映画。『悪魔のいけにえ』前にトビー・フーパーが撮った長編第一作で、長らく失われた幻の作品と呼ばれていたが、近年フィルムが発見された。『悪魔のいけにえ』と同じロケーションを使い、色々な演出を試行錯誤した跡が見える習作的作品。日本初公開。

Restoration courtesy of Arrow Films and the American Genre Film Archive.
トビー・フーパー
1943年アメリカ・テキサス生まれ。長編第2作目の『悪魔のいけにえ』を自主制作しホラー映画の金字塔として歴史に名を残す。その後はホラーの巨匠として『ポルターガイスト』、『死霊伝説』、『スペースバンパイア』、『スペースインベーダー』、『悪魔のいけにえ2』、『スポンティニアス・コンバッション』、『マングラー』などを撮る。2017年永眠。

ゼアーズ・オールウェイズ・バニラ
1971年/アメリカ/93分
監督・撮影・編集:ジョージ・A・ロメロ
製作:ジョン・ルッソ
原作・脚本:ルディー・リッチ
出演:レイ・レイン、ジュディス・リドリー
ベトナムから故郷のピッツバーグに帰還した青年は今後進むべき道に迷っていたが、地元有力者である彼の父親は家業を彼に継がせたいと思っている。そんな中ある年上の女性と彼は恋仲になり、違う世界に飛び出そうとする。第一作目の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の興行的失敗により、進むべき道を模索していたロメロ監督の珍しいロマンチックコメディ。日本初公開。

Restoration courtesy of Arrow Films and the American Genre Film Archive.
ジョージ・A・ロメロ
1940年アメリカ・ニューヨーク生まれ。大学を卒業後、ピッツバーグで自主制作した長編第1作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』で初上映の数年後ブレイクするが当初は反響もなく失敗したと思われていた。『ゾンビ』によるブレイクまでの約10年間は様々なジャンルで映画製作を模索する。『ゾンビ』の世界的大ヒットによりホラーの巨匠としての地位を確立する。『クリープショー』、『死霊のえじき』、『モンキーシャイン』、『ダークハーフ』、『ランド・オブ・ザ・デッド』など精力的に映画製作をし、2017年に永眠する。

★期待の新人監督
2011年に開始した新人監督を発掘する当企画。今回は全応募作品83本の中から11作品が選ばれた。パンデミック禍であえて行われた撮影により力作ばかりとなった。グランプリ「期待の新人監督賞」授賞監督には次回作への支援金として200万円が贈られる。また上映作品に出演している優秀な俳優にも「期待の新人俳優賞」が贈られる。
全身犯罪者
2020年/20分
監督・脚本・編集・CG/VFX・美術 : 松野友喜人
撮影:佐藤優希 音楽:JunGoto
出演:松野友喜人
残忍な連続殺人事件が発生する。刑事はタイムマシンを使い、時空を超え日本の著名な凶悪犯罪者たちに接触。犯人逮捕に協力を求める・・・。 劇中の全登場人物11人を監督自身が熱演。更に、脚本・編集・美術・CG/VFX・小道具・エンディングテーマを務める。 日本犯罪者版『アベンジャーズ』、誕生。

松野友喜人
1999年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学映像学科に入学後、日本大学芸術学部映画学科に編入学。卒業制作作品『全身犯罪者』は、芸術学部長賞を受賞したが、卒業制作展では上映禁止扱いとなった。ポストプロダクション会社でコンポジターとして勤務中。

体験型ツアー
2021年/120分
監督・脚本・撮影・編集・美術:MELIA
出演:MELIA、烏山ぐれい
通り魔に「叫んだら殺す。写真を撮ってばら撒く」とナイフで脅され、強姦致傷被害者となったMELIA。犯人は捕まらず、あまりに巨大なやり場のない憎しみを抱え切れないMELIAは、自殺配信を決意。すると、愛犬マルに止められ、マルがいる限り死ぬことは許されないと絶望。その時、〝地獄がある〟という啓示が聞こえ、MELIAは全てを悟った。レイプ被害者は死後、天国へ行き、そこから犯人たちのいる地獄へと復讐をしに遊びに行ける。だから、もう憎悪に押し潰され苦しむ必要はないのだと——。

MELIA
早大3年。主演、劇中歌の作詞作曲編曲などを担当。特技はDAM精密採点DX-G素点100点。『私の肢体を引き摺って』が東京1st映画祭にてグランプリ、主演賞、最優秀作品賞を受賞。『私の肢体を引き摺って』、『白い涙』がFree Film Festival Pro・Official Selectionを受賞。

西園さんは今日も
2020年/70分
監督・脚本・製作・編集:蒲生映与
出演:蒲生映与、平山マユカ、篠原寛作、瀬戸優香
子供の頃のトラウマから、深く精神を患ってしまった大野圭一郎(蒲生映与)。その大野に関わることとなった西園紗良(平山マユカ)は、その身勝手な行動に振り回されるばかりだった。大野の高校時代の記憶をきっかけに、大野は快方に向かうことになる。さらに病気の治癒を目指し、二人は大野の高校時代の同級生に会いに行くが...

蒲生映与
1966年、東京生まれ。大学(文学部ドイツ文学科)卒業後、独学で映画の自主製作を始める。途中、法科大学院での勉強のため映画製作から離れるが、卒業後再開。現在に至る。

シャーマンの娘
2021年/140分
監督・脚本・編集:井坂優介
撮影:吉田良介 音楽:死んだ僕の彼女
出演:木原渚、長野こうへい、佐藤あかり、倉上桃圭、手塚眞、大須みづほ
死んだ恋人さゆりが幽霊となって健悟の前に現れた。さゆりは可愛い。幽霊なのにちっとも怖くない。そんな幽霊との同棲生活は、新たに健悟に想いを寄せる祈祷師の娘海花によって狂わされていく。行先の分からない物語展開とジャンル転換。そして行き着くひとつの結末。観客の善悪を揺るがす全く新しい心霊映画。

井坂優介
1988年、茨城県生まれ。立教大学映像身体学科卒業。
アニメ制作会社に勤務しながら自主制作した初監督作品『幽霊アイドルこはる』がPFFアワード2015入選。以降、短編映画を立て続けに制作、本作が初長編となる。

共振
2021年/103分
監督・脚本:樋口慧一
製作:光宣
出演:山本晃大、山口大地、森山みつき、相馬圭祐、光宣、吉野公佳
生来、人一倍、他者への共感性が強いエンパス性質である萱野岳彦は、
ある凄惨な事件に巻き込まれたことをきっかけに、エンパス性が極端化し、
他者が感じる身体的な痛みや苦痛を、まるで自分のもののように感じる体質になってしまう。岳彦はある日、エンパス性質の人を対象とした臨床試験(治験)の募集を見つけ、それを受けることを決意する。しかし、岳彦の状況は一変してしまい —エンパスというこれまで映画で描かれてこなかったモチーフに、まっこうから挑んだ意欲作!

樋口慧一
1991年生まれ。映像制作会社に勤務した後、2017年に独立。フリーの映像ディレクターとして、CM、MV等のディレクションを行なっている。近年は、自主映画の製作にも力を入れ、精力的に活動している。

歌舞伎町ヴァージンジャンプ
2021年/85分
監督・脚本・編集:小川北人 撮影:柳田純一
出演:吉田恵智華、佐々木道成、椎名朱音、伊藤慶徳、コガ・ケースケ、山崎隆太郎、上埜すみれ、岩城滉太、廣岡聖、みやたに、田丸大輔、安田ユウ
新宿歌舞伎町、違法風俗店で働く小泉さとるは、客を騙し金を巻き上げていた。ある日、職場のデリヘル嬢サクラがビルから飛び降り自殺をする。翌日、ビルの屋上へと向かった小泉は、ビルから身を乗り出そうとしていた少女を助け出してしまうのであった。死を覚悟した少女と、女を売って生きた男の物語。

小川北人
1990年 東京都生まれ。7年間役者として舞台や映画に出演。
2017年映画制作チーム『ゼロフィルム』を立ち上げ、初監督作品『わたしは母を殺しました。』を発表する。現在は映画を撮る為に起業し、2021年11月、新作長編映画『キム・ソジュン』を撮影予定。

深淵から愛を込めて
2020年/11分
監督・脚本・編集:森幸光
撮影:高橋祐輔、ばろたろう
録音:渋谷樹翔 音楽・映像:窪田創志、島村元康
出演:中沢志保、島村元康、武井祐樹、今村俊之
地球では人類はこれまでに多種、多様な生物を絶滅させてきました。
人類には他の生物を殺してしまう本性があるんでしょうか?
蔓延している「コロナ」は果たして自然発生したものなのでし
ょうか?もしかすると、誰か?何か?の啓示なのでは?
果たして、人に救いは有るのでしょうか?
宇宙に人類に対する愛はまだ残ってんでしょうか?

透明な終末
2021年/26分
監督・脚本・編集:森幸光 撮影:高橋祐輔、安達竜太郎
録音:渋谷樹翔 映像:真子
出演:森耕作、三枝ゆきの、真子
死を自らの意思で決める気だった男。人類の世界が今日で終る事
を知る。近ずく一日の終わり。寄り添う女。男の周囲が不安定に
なっていく。世界が歪む。次の世界の主人公の猫達が騒ぐ。
現れる猫の世界の番人。ストレンジな空間に個性的な登場人物。
先の見えない現在を思わせる終末の一日。

森幸光
1959年生まれ 横浜市在住 普通のサラリーマンを30年以上続け、ガンで入院を期に映画を撮ることに。メジャーなカルトを目指します。

外の世界
2020年/66分
監督・脚本・編集:島村拓也
音楽:ガク カワサキ
出演:黒住尚生、綾乃彩、佛淵和哉、山崎隆太朗、長野こうへい、竹下かおり、ほりかわひろき
雑誌や本を制作するプロダクションに勤めている大島和也は仕事に慣れず、ミスやクレームを引き起こしてしまい退社する。転職活動をするもどこの会社も落ちてしまい、恋人の麻衣にもフラれてしまう。その中で和也は大学時代に落選していたシナリオコンクールに再び応募するために大学時代の友人たちの協力の元、脚本を書き始める。 1 人の青年が自身の進む道を模索する様を描いた青春映画。

島村拓也
1989 年、東京生まれ。デジタルハリウッド大学を卒業後に本格的に自主制作映画の制作をスタートする。

虹が落ちる前に
2020年/ 115分
監督・脚本・音楽・衣装:Koji Uehara
助監督・編集:Atsushi Nakajima
音楽:Hidetoshi Nishihara
出演:守山龍之介、畦田ひとみ、白磯大知、末松暢茂、梶田冬磨、昆竜弥、板垣雄大、田宮拓、バンダリ亜砂也
売れないバンドを続ける気の弱い主人公は、自分の現状に満足はしていないながらも、自分の周りには仲間や大切な彼女がいることに甘え、「当たり前」の毎日を過ごしていた。ただ、心のどこかでそれがいつか無くなってしまうのではと感じていたが、気付かないフリをしながら...。そして『ある』きっかけでその全てを無くしてしまう。
それを取り戻せない事が分かってはいるが前に進む決断をし、『ある』曲を作り始める。

Koji Uehara
1978年大阪府生まれ。大阪を中心にメジャーシーンからアンダーグラウンドまで、音楽だけでなくファッションや生き方が多くの若者から支持を受けるストリートのアイコン的存在。本作が長編初監督作品。

yes,yes,yes
2021年/75分
監督・脚本・編集・撮影:矢野瑛彦
録音:松本昌之 助監督:高橋基史 音楽:夜ハ短シ
出演:上杉一馬、瓜生和成、井上みなみ、川隅奈保子
大好きな母親が病気で死ぬかもしれないと聞かされる雄晃。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世
の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?
家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。

矢野瑛彦
1985年宮崎県宮崎市出身。大学在学中に映画に熱中し、映画
監督を志す。上京後、ENBUゼミナールに入学。熊切和嘉監督に師事する。

◎審査員
稲生平太郎
1954年大阪生まれ。作家。著書に幻想小説「アクアリウムの夜」および「アムネジア」、UFO、オカルト論「定本 何かが空を飛んでいる」、高橋洋との対談本 「映画の生体解剖」など。横山茂雄名義の著書としては「聖別された肉体」「異形のテクスト」「神の聖なる天使たち」「死者の饗宴」(訳書)など。

高橋洋
1959年千葉生まれ。脚本作に『女優霊』『リング』『インフェルノ蹂躙』『復讐運命の訪問者』『蛇の道』『発狂する唇』『血を吸う宇宙』『おろち』など。監督作に『ソドムの市』『狂気の海』『恐怖』『旧支配者のキャロル』『霊的ボリシェヴィキ』。著書に『映画の魔』『映画の生体解剖』がある。監督最新作2本を現在、同時仕上げ中!

坪井篤史
1978年愛知県生まれ。小3の時に映画から啓示を受けて30年過ぎました。映画のために生きる映画狂人。名古屋のミニシアター、シネマスコーレ副支配人。たまに非常勤講師。自分の映画狂人ぶりがドキュメンタリー映画になった『劇場版シネマ狂想曲』と初プロデュ ース作品『恋のクレイジーロード』(白石晃士監督/田中俊介主演)がある。配給協力の『恋するけだもの』が全国公開中。2021年7月より池袋ヒューマックスシネマさんで開催される<カルトdeシネマ>カリキュレーターを担当。

★小林勇貴監督作品『奈落の翅』プレミア上映
初代「期待の新人監督グランプリ」の小林勇貴監督が新作を引っさげて帰ってきた!
監督とキャストの舞台挨拶もあります。
奈落の翅
2021年/日本/100min
製作・監督・脚本・編集・撮影:小林勇貴
音楽:中川孝、河野亜希子
整音・音響効果:内藤和冬
特殊メイク:深田結梨
出演:ウメモトジンギ、池田幸太、須藤学、阿部怜来、中西秀人、綱啓永、北原里英、渡部豪太、榊英雄、六平直政
冴えないサリーマンであるジンは、夜な夜なストリートスケートに明け暮れていた。ある日過激なスケーターのイケダと出会うことで、危険な領域に踏み込んでいく。市民とのトラブル、スケーター狩り、乱闘、島流し。実際の事件をベースにした、未だかつてないスケ暴映画。

小林勇貴
1990年静岡県富士宮市出身。「期待の新人監督」初代グランプリ。『全員死刑』『ホームルーム』など。TBS系ドラマ『スカム』でギャラクシー賞奨励賞受賞。

★タイムテーブル

★チケット情報
7月31日(土)からこちらでWEB前売り券発売予定
◎1回鑑賞券 前売り1400円 当日1600円
※半券をお持ちの方は授賞式に入場できます。
※1回鑑賞券は各作品ごとに販売します。
※チケットご購入後の払い戻し、変更はできません。
※サポーターの方は優先入場できます。
昨年はお休みしていましたが、今年は映画祭サポーター募集します。前売り券の先行販売や当日会場での優先入場、『宇宙人の画家』ポスターなど特典がありますので、是非よろしくお願いします!
詳細はこちらから。
また今年は人手が足りず映画祭ボランティアを募集中です。
そして、9月17日(金)~19日(日)の夜にはタテマチ屋上映画祭2021を同時開催します。
ラインナップはこちらから!!

会期:9月18日(土)~20日(月・祝)
会場:金沢21世紀美術館シアター21

★名監督が期待の新人だった頃
映画史の殿堂に燦然と輝く名監督たち。彼らにも新人だった頃があった。ジョージ・ミラー、リドリー・スコット、トビー・フーパー、ジョージ・A・ロメロが若かりし頃に撮った自主映画を特集する。
『バイオレンス・イン・ザ・シネマ パート1』
1971年/オーストラリア/20分
監督・脚本:ジョージ・ミラー
製作・撮影・編集:バイロン・ケネディ
出演:アーサー・デナム
「映画における暴力表現」の講義は博士の狂気により学術的説明から実践的実験にエスカレートする。ニューサウスウェールズ大学在学中にジョージ・ミラーは後に一緒に『マッドマックス1,2』を製作するプロデューサーのバイロン・ケネディ(『マッドマックス3 サンダードーム』の撮影前にヘリコプター事故で惜しくも夭折する)と出会い、この短編を自主制作し映画作りにのめり込むことになる。日本初公開。

KENNEDY MILLER MITCHELL、NATIONAL FILM AND SOUND ARCHIVE OF AUSTRALIA
ジョージ・ミラー
1945年オーストラリア・クイーンズランド州生まれ。長編第1作『マッドマックス』でデビューし、『マッドマックス2』で世界的な監督となった。その後もハリウッドで活躍し、近年は『マッドマックス 怒りのデスロード』が大ヒット。現在は『マッドマックス』シリーズの新作『FURIOSA』を製作中。

少年と自転車
1965年/イギリス/27分
監督・脚本・撮影・編集:リドリー・スコット
音楽:ジョン・バリー
出演:トニー・スコット
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ在学中のリドリー・スコットが弟のトニー・スコット(のちに同じく監督となり『トップガン』、『トゥルーロマンス』、『クリムゾンタイド』、『アンストッパブル』などハリウッド大作を精力的に撮り続けたが惜しくも2012年に亡くなる)を主演に撮った初めての映画。父親からもらったわずか65ポンド(一万円)を使い手持ちの16ミリカメラで実家の周りで撮影した。

British Film Institute
リドリー・スコット
1937年イギリスダーハム郡生まれ。CM業界で活躍後、長編『デュエリスト』で商業デビューし、二作目の『エイリアン』で世界的監督となる。その後『ブレードランナー』、『ブラックレイン』、『テルマ&ルイーズ』、『グラディエーター』、『ブラックホークダウン』、『悪の法則』、『プロメテウス』など現在も精力的に映画製作を続けている。

エッグシェルズ
1969年/アメリカ/89分
監督・製作・脚本・撮影・編集:トビー・フーパー
出演:マーロン・フォアマン、キム・ヒンケル
テキサスでドラッグのバッドトリップに明け暮れる若者たちをシュールに描いた青春映画。『悪魔のいけにえ』前にトビー・フーパーが撮った長編第一作で、長らく失われた幻の作品と呼ばれていたが、近年フィルムが発見された。『悪魔のいけにえ』と同じロケーションを使い、色々な演出を試行錯誤した跡が見える習作的作品。日本初公開。

Restoration courtesy of Arrow Films and the American Genre Film Archive.
トビー・フーパー
1943年アメリカ・テキサス生まれ。長編第2作目の『悪魔のいけにえ』を自主制作しホラー映画の金字塔として歴史に名を残す。その後はホラーの巨匠として『ポルターガイスト』、『死霊伝説』、『スペースバンパイア』、『スペースインベーダー』、『悪魔のいけにえ2』、『スポンティニアス・コンバッション』、『マングラー』などを撮る。2017年永眠。

ゼアーズ・オールウェイズ・バニラ
1971年/アメリカ/93分
監督・撮影・編集:ジョージ・A・ロメロ
製作:ジョン・ルッソ
原作・脚本:ルディー・リッチ
出演:レイ・レイン、ジュディス・リドリー
ベトナムから故郷のピッツバーグに帰還した青年は今後進むべき道に迷っていたが、地元有力者である彼の父親は家業を彼に継がせたいと思っている。そんな中ある年上の女性と彼は恋仲になり、違う世界に飛び出そうとする。第一作目の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』の興行的失敗により、進むべき道を模索していたロメロ監督の珍しいロマンチックコメディ。日本初公開。

Restoration courtesy of Arrow Films and the American Genre Film Archive.
ジョージ・A・ロメロ
1940年アメリカ・ニューヨーク生まれ。大学を卒業後、ピッツバーグで自主制作した長編第1作『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』で初上映の数年後ブレイクするが当初は反響もなく失敗したと思われていた。『ゾンビ』によるブレイクまでの約10年間は様々なジャンルで映画製作を模索する。『ゾンビ』の世界的大ヒットによりホラーの巨匠としての地位を確立する。『クリープショー』、『死霊のえじき』、『モンキーシャイン』、『ダークハーフ』、『ランド・オブ・ザ・デッド』など精力的に映画製作をし、2017年に永眠する。

★期待の新人監督
2011年に開始した新人監督を発掘する当企画。今回は全応募作品83本の中から11作品が選ばれた。パンデミック禍であえて行われた撮影により力作ばかりとなった。グランプリ「期待の新人監督賞」授賞監督には次回作への支援金として200万円が贈られる。また上映作品に出演している優秀な俳優にも「期待の新人俳優賞」が贈られる。
全身犯罪者
2020年/20分
監督・脚本・編集・CG/VFX・美術 : 松野友喜人
撮影:佐藤優希 音楽:JunGoto
出演:松野友喜人
残忍な連続殺人事件が発生する。刑事はタイムマシンを使い、時空を超え日本の著名な凶悪犯罪者たちに接触。犯人逮捕に協力を求める・・・。 劇中の全登場人物11人を監督自身が熱演。更に、脚本・編集・美術・CG/VFX・小道具・エンディングテーマを務める。 日本犯罪者版『アベンジャーズ』、誕生。

松野友喜人
1999年、和歌山県生まれ。大阪芸術大学映像学科に入学後、日本大学芸術学部映画学科に編入学。卒業制作作品『全身犯罪者』は、芸術学部長賞を受賞したが、卒業制作展では上映禁止扱いとなった。ポストプロダクション会社でコンポジターとして勤務中。

体験型ツアー
2021年/120分
監督・脚本・撮影・編集・美術:MELIA
出演:MELIA、烏山ぐれい
通り魔に「叫んだら殺す。写真を撮ってばら撒く」とナイフで脅され、強姦致傷被害者となったMELIA。犯人は捕まらず、あまりに巨大なやり場のない憎しみを抱え切れないMELIAは、自殺配信を決意。すると、愛犬マルに止められ、マルがいる限り死ぬことは許されないと絶望。その時、〝地獄がある〟という啓示が聞こえ、MELIAは全てを悟った。レイプ被害者は死後、天国へ行き、そこから犯人たちのいる地獄へと復讐をしに遊びに行ける。だから、もう憎悪に押し潰され苦しむ必要はないのだと——。

MELIA
早大3年。主演、劇中歌の作詞作曲編曲などを担当。特技はDAM精密採点DX-G素点100点。『私の肢体を引き摺って』が東京1st映画祭にてグランプリ、主演賞、最優秀作品賞を受賞。『私の肢体を引き摺って』、『白い涙』がFree Film Festival Pro・Official Selectionを受賞。

西園さんは今日も
2020年/70分
監督・脚本・製作・編集:蒲生映与
出演:蒲生映与、平山マユカ、篠原寛作、瀬戸優香
子供の頃のトラウマから、深く精神を患ってしまった大野圭一郎(蒲生映与)。その大野に関わることとなった西園紗良(平山マユカ)は、その身勝手な行動に振り回されるばかりだった。大野の高校時代の記憶をきっかけに、大野は快方に向かうことになる。さらに病気の治癒を目指し、二人は大野の高校時代の同級生に会いに行くが...

蒲生映与
1966年、東京生まれ。大学(文学部ドイツ文学科)卒業後、独学で映画の自主製作を始める。途中、法科大学院での勉強のため映画製作から離れるが、卒業後再開。現在に至る。

シャーマンの娘
2021年/140分
監督・脚本・編集:井坂優介
撮影:吉田良介 音楽:死んだ僕の彼女
出演:木原渚、長野こうへい、佐藤あかり、倉上桃圭、手塚眞、大須みづほ
死んだ恋人さゆりが幽霊となって健悟の前に現れた。さゆりは可愛い。幽霊なのにちっとも怖くない。そんな幽霊との同棲生活は、新たに健悟に想いを寄せる祈祷師の娘海花によって狂わされていく。行先の分からない物語展開とジャンル転換。そして行き着くひとつの結末。観客の善悪を揺るがす全く新しい心霊映画。

井坂優介
1988年、茨城県生まれ。立教大学映像身体学科卒業。
アニメ制作会社に勤務しながら自主制作した初監督作品『幽霊アイドルこはる』がPFFアワード2015入選。以降、短編映画を立て続けに制作、本作が初長編となる。

共振
2021年/103分
監督・脚本:樋口慧一
製作:光宣
出演:山本晃大、山口大地、森山みつき、相馬圭祐、光宣、吉野公佳
生来、人一倍、他者への共感性が強いエンパス性質である萱野岳彦は、
ある凄惨な事件に巻き込まれたことをきっかけに、エンパス性が極端化し、
他者が感じる身体的な痛みや苦痛を、まるで自分のもののように感じる体質になってしまう。岳彦はある日、エンパス性質の人を対象とした臨床試験(治験)の募集を見つけ、それを受けることを決意する。しかし、岳彦の状況は一変してしまい —エンパスというこれまで映画で描かれてこなかったモチーフに、まっこうから挑んだ意欲作!

樋口慧一
1991年生まれ。映像制作会社に勤務した後、2017年に独立。フリーの映像ディレクターとして、CM、MV等のディレクションを行なっている。近年は、自主映画の製作にも力を入れ、精力的に活動している。

歌舞伎町ヴァージンジャンプ
2021年/85分
監督・脚本・編集:小川北人 撮影:柳田純一
出演:吉田恵智華、佐々木道成、椎名朱音、伊藤慶徳、コガ・ケースケ、山崎隆太郎、上埜すみれ、岩城滉太、廣岡聖、みやたに、田丸大輔、安田ユウ
新宿歌舞伎町、違法風俗店で働く小泉さとるは、客を騙し金を巻き上げていた。ある日、職場のデリヘル嬢サクラがビルから飛び降り自殺をする。翌日、ビルの屋上へと向かった小泉は、ビルから身を乗り出そうとしていた少女を助け出してしまうのであった。死を覚悟した少女と、女を売って生きた男の物語。

小川北人
1990年 東京都生まれ。7年間役者として舞台や映画に出演。
2017年映画制作チーム『ゼロフィルム』を立ち上げ、初監督作品『わたしは母を殺しました。』を発表する。現在は映画を撮る為に起業し、2021年11月、新作長編映画『キム・ソジュン』を撮影予定。

深淵から愛を込めて
2020年/11分
監督・脚本・編集:森幸光
撮影:高橋祐輔、ばろたろう
録音:渋谷樹翔 音楽・映像:窪田創志、島村元康
出演:中沢志保、島村元康、武井祐樹、今村俊之
地球では人類はこれまでに多種、多様な生物を絶滅させてきました。
人類には他の生物を殺してしまう本性があるんでしょうか?
蔓延している「コロナ」は果たして自然発生したものなのでし
ょうか?もしかすると、誰か?何か?の啓示なのでは?
果たして、人に救いは有るのでしょうか?
宇宙に人類に対する愛はまだ残ってんでしょうか?

透明な終末
2021年/26分
監督・脚本・編集:森幸光 撮影:高橋祐輔、安達竜太郎
録音:渋谷樹翔 映像:真子
出演:森耕作、三枝ゆきの、真子
死を自らの意思で決める気だった男。人類の世界が今日で終る事
を知る。近ずく一日の終わり。寄り添う女。男の周囲が不安定に
なっていく。世界が歪む。次の世界の主人公の猫達が騒ぐ。
現れる猫の世界の番人。ストレンジな空間に個性的な登場人物。
先の見えない現在を思わせる終末の一日。

森幸光
1959年生まれ 横浜市在住 普通のサラリーマンを30年以上続け、ガンで入院を期に映画を撮ることに。メジャーなカルトを目指します。

外の世界
2020年/66分
監督・脚本・編集:島村拓也
音楽:ガク カワサキ
出演:黒住尚生、綾乃彩、佛淵和哉、山崎隆太朗、長野こうへい、竹下かおり、ほりかわひろき
雑誌や本を制作するプロダクションに勤めている大島和也は仕事に慣れず、ミスやクレームを引き起こしてしまい退社する。転職活動をするもどこの会社も落ちてしまい、恋人の麻衣にもフラれてしまう。その中で和也は大学時代に落選していたシナリオコンクールに再び応募するために大学時代の友人たちの協力の元、脚本を書き始める。 1 人の青年が自身の進む道を模索する様を描いた青春映画。

島村拓也
1989 年、東京生まれ。デジタルハリウッド大学を卒業後に本格的に自主制作映画の制作をスタートする。

虹が落ちる前に
2020年/ 115分
監督・脚本・音楽・衣装:Koji Uehara
助監督・編集:Atsushi Nakajima
音楽:Hidetoshi Nishihara
出演:守山龍之介、畦田ひとみ、白磯大知、末松暢茂、梶田冬磨、昆竜弥、板垣雄大、田宮拓、バンダリ亜砂也
売れないバンドを続ける気の弱い主人公は、自分の現状に満足はしていないながらも、自分の周りには仲間や大切な彼女がいることに甘え、「当たり前」の毎日を過ごしていた。ただ、心のどこかでそれがいつか無くなってしまうのではと感じていたが、気付かないフリをしながら...。そして『ある』きっかけでその全てを無くしてしまう。
それを取り戻せない事が分かってはいるが前に進む決断をし、『ある』曲を作り始める。

Koji Uehara
1978年大阪府生まれ。大阪を中心にメジャーシーンからアンダーグラウンドまで、音楽だけでなくファッションや生き方が多くの若者から支持を受けるストリートのアイコン的存在。本作が長編初監督作品。

yes,yes,yes
2021年/75分
監督・脚本・編集・撮影:矢野瑛彦
録音:松本昌之 助監督:高橋基史 音楽:夜ハ短シ
出演:上杉一馬、瓜生和成、井上みなみ、川隅奈保子
大好きな母親が病気で死ぬかもしれないと聞かされる雄晃。死んだらどこに行くのか?死んだら、今いる人達とか、この世
の全てと二度と会えなくなる。それなら、生きることに意味がないのじゃないのか。何の為に僕らは産まれてきたのか?
家族それぞれが、自分のことだけしか考えられずに、バラバラになってしまう。生きる事の辛さ、孤独、意味を、死という基盤を軸に、家族の破壊と再生を通じて描いた、愛の物語。

矢野瑛彦
1985年宮崎県宮崎市出身。大学在学中に映画に熱中し、映画
監督を志す。上京後、ENBUゼミナールに入学。熊切和嘉監督に師事する。

◎審査員
稲生平太郎
1954年大阪生まれ。作家。著書に幻想小説「アクアリウムの夜」および「アムネジア」、UFO、オカルト論「定本 何かが空を飛んでいる」、高橋洋との対談本 「映画の生体解剖」など。横山茂雄名義の著書としては「聖別された肉体」「異形のテクスト」「神の聖なる天使たち」「死者の饗宴」(訳書)など。

高橋洋
1959年千葉生まれ。脚本作に『女優霊』『リング』『インフェルノ蹂躙』『復讐運命の訪問者』『蛇の道』『発狂する唇』『血を吸う宇宙』『おろち』など。監督作に『ソドムの市』『狂気の海』『恐怖』『旧支配者のキャロル』『霊的ボリシェヴィキ』。著書に『映画の魔』『映画の生体解剖』がある。監督最新作2本を現在、同時仕上げ中!

坪井篤史
1978年愛知県生まれ。小3の時に映画から啓示を受けて30年過ぎました。映画のために生きる映画狂人。名古屋のミニシアター、シネマスコーレ副支配人。たまに非常勤講師。自分の映画狂人ぶりがドキュメンタリー映画になった『劇場版シネマ狂想曲』と初プロデュ ース作品『恋のクレイジーロード』(白石晃士監督/田中俊介主演)がある。配給協力の『恋するけだもの』が全国公開中。2021年7月より池袋ヒューマックスシネマさんで開催される<カルトdeシネマ>カリキュレーターを担当。

★小林勇貴監督作品『奈落の翅』プレミア上映
初代「期待の新人監督グランプリ」の小林勇貴監督が新作を引っさげて帰ってきた!
監督とキャストの舞台挨拶もあります。
奈落の翅
2021年/日本/100min
製作・監督・脚本・編集・撮影:小林勇貴
音楽:中川孝、河野亜希子
整音・音響効果:内藤和冬
特殊メイク:深田結梨
出演:ウメモトジンギ、池田幸太、須藤学、阿部怜来、中西秀人、綱啓永、北原里英、渡部豪太、榊英雄、六平直政
冴えないサリーマンであるジンは、夜な夜なストリートスケートに明け暮れていた。ある日過激なスケーターのイケダと出会うことで、危険な領域に踏み込んでいく。市民とのトラブル、スケーター狩り、乱闘、島流し。実際の事件をベースにした、未だかつてないスケ暴映画。

小林勇貴
1990年静岡県富士宮市出身。「期待の新人監督」初代グランプリ。『全員死刑』『ホームルーム』など。TBS系ドラマ『スカム』でギャラクシー賞奨励賞受賞。

★タイムテーブル

★チケット情報
7月31日(土)からこちらでWEB前売り券発売予定
◎1回鑑賞券 前売り1400円 当日1600円
※半券をお持ちの方は授賞式に入場できます。
※1回鑑賞券は各作品ごとに販売します。
※チケットご購入後の払い戻し、変更はできません。
※サポーターの方は優先入場できます。
昨年はお休みしていましたが、今年は映画祭サポーター募集します。前売り券の先行販売や当日会場での優先入場、『宇宙人の画家』ポスターなど特典がありますので、是非よろしくお願いします!
詳細はこちらから。
また今年は人手が足りず映画祭ボランティアを募集中です。
そして、9月17日(金)~19日(日)の夜にはタテマチ屋上映画祭2021を同時開催します。
ラインナップはこちらから!!

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