ドラムど根性ドラマ『セッション』
- 2015/02/26
- 16:17
原題は「Whiplash」、邦題は『セッション』。
最初から最後までドラムセッションしているので、こういう邦題にしたのだろうけど、原題の方がしっくりくるな。
邦題の付け方はかつての東宝東和配給作品から学んでほしい。例、「SWEET AND SAVAGE」→『残酷を超えた驚愕ドキュメント/カランバ』

ジャズはよく分からないのだけれど、名門音楽学校を舞台に伝説のジャズプレイを求める鬼教師と若いドラマーのど根性モノ。亀頭みたいな頭をした鬼教師が今時珍しい体罰と暴言教育で若い生徒たちを追い詰める。
この教師、妙に主人公だけには優しいのでホモなのかと思いきや、特にそういった要素は最後まで出てこなかった。しかし、女っ気はゼロだったのでホモなのだろう。

まあ、鬼教師ということで『フルメタル・ジャケット』の鬼教官のように、そのキチガイぶりが見所になると思うのだが、キチガイ度はそれほどではなく、結構優しいのでなんだか物足りない。音楽には狂気が必要と講釈たれるのだが、ベラベラそういうことを話し過ぎるのでキチガイに見えない。「人を限界まで追い込んで、その先の尋常ではない能力を引き出す」とその辺のブラック企業経営者みたいなことを言うが、まあその意見には納得。ただ、そういう戸塚ヨットスクールみたいな教育は親に嫌われたらしく、結局苦情で学校はクビになる。

「その演奏は違う!ブタみたいにファックするぞ!」などと怒鳴るが、当方はジャズに疎いのでダメな演奏と良い演奏の違いが分からず…。
「昨日、友達が死んだ」と言って生徒の前で泣いたりするなど、そんなにキチガイではない。
早々に鬼の目に涙。


ど根性モノにはクラスメイト間のいじめや、ライバルからの足の引っ張りなどが必須だと思うが、そういった要素はなく、あくまで生徒と教師だけの関係で進むのでいまいち物足りない。というか、主人公がずっと特別扱いされてひいきされているようにしか見えない。
この主人公が結構イヤな野郎でクラスメイトに嫌われているのだけれど、下記のように無理もない。
共有の楽譜ファイルをリハーサル前に無くし、クラスメイトがとばっちりを受ける。

本番前に遅刻。

自分が悪いのに逆ギレ。クラスメイトにも八つ当たり。

遅刻したうえ、ドラムスティックを忘れてくる。

「10分だけだぞ!」と取りに戻らせてもらえるが(普通の鬼教師だったら、「お前、もう帰れ!二度と来るな!」になるよね…優しいなあ)、運転しながら携帯で話していたため事故る。



怪我でボロボロになりながら、本番に到着。無理やり演奏するが怪我のため演奏できず本番を台無しにする。


教師に逆ギレ。つまみ出される。

コイツは本当にイカンわ。エゴが強すぎ。映画の最初と最後がドラムソロなのでそれに象徴されている。
遅刻のシーンなど笑うしかない場面だと思うのだが、大真面目に撮られ過ぎていて、見ているこっちがどう見てよいものやら困惑してしまう。この作品も例の真面目映画である。
なんだかなあ…という感想しか浮かばない映画だった。一番問題なのが音楽映画なのに良い曲が一つも出てこなかったことではないだろうか? こんなにサントラが欲しいと思えない音楽映画も珍しい。これは、おれがジャズに興味が無いということとは別の問題だと思う。現にラップになど全く興味はないが、『ハッスル&フロウ』や『8マイル』はとても面白かった。
また、映画館のシーンが出てくるが、上映中の場内のカットを映さないので物足りない。


なんだろうこの映画の教訓は…。芸術を極めるときはとことんキチガイとエゴイストになって、他人に迷惑をかけろってことなのかな? うん、それはそのとおりだと思う(でも仲良くできればそれに越したことはないな、うん)。
本物の狂気が見たかった。
いや、でも力の抜けきった芸術作品も素晴らしいし、こんな顔真っ赤にしながら青筋立て続ける芸術は違うかも…。特に音楽だったら、もっと肩の力抜いても良いのでは? よく分からんが…。とりあえず画面的には「芸術!」という感じで分かりやすい。
しかし、製作費が330万ドルとアメリカ映画としては低予算なのに、大ヒットして賞まで取るんだからスゴいものだ。
予告編
最初から最後までドラムセッションしているので、こういう邦題にしたのだろうけど、原題の方がしっくりくるな。
邦題の付け方はかつての東宝東和配給作品から学んでほしい。例、「SWEET AND SAVAGE」→『残酷を超えた驚愕ドキュメント/カランバ』

ジャズはよく分からないのだけれど、名門音楽学校を舞台に伝説のジャズプレイを求める鬼教師と若いドラマーのど根性モノ。亀頭みたいな頭をした鬼教師が今時珍しい体罰と暴言教育で若い生徒たちを追い詰める。
この教師、妙に主人公だけには優しいのでホモなのかと思いきや、特にそういった要素は最後まで出てこなかった。しかし、女っ気はゼロだったのでホモなのだろう。

まあ、鬼教師ということで『フルメタル・ジャケット』の鬼教官のように、そのキチガイぶりが見所になると思うのだが、キチガイ度はそれほどではなく、結構優しいのでなんだか物足りない。音楽には狂気が必要と講釈たれるのだが、ベラベラそういうことを話し過ぎるのでキチガイに見えない。「人を限界まで追い込んで、その先の尋常ではない能力を引き出す」とその辺のブラック企業経営者みたいなことを言うが、まあその意見には納得。ただ、そういう戸塚ヨットスクールみたいな教育は親に嫌われたらしく、結局苦情で学校はクビになる。

「その演奏は違う!ブタみたいにファックするぞ!」などと怒鳴るが、当方はジャズに疎いのでダメな演奏と良い演奏の違いが分からず…。
「昨日、友達が死んだ」と言って生徒の前で泣いたりするなど、そんなにキチガイではない。
早々に鬼の目に涙。


ど根性モノにはクラスメイト間のいじめや、ライバルからの足の引っ張りなどが必須だと思うが、そういった要素はなく、あくまで生徒と教師だけの関係で進むのでいまいち物足りない。というか、主人公がずっと特別扱いされてひいきされているようにしか見えない。
この主人公が結構イヤな野郎でクラスメイトに嫌われているのだけれど、下記のように無理もない。
共有の楽譜ファイルをリハーサル前に無くし、クラスメイトがとばっちりを受ける。

本番前に遅刻。

自分が悪いのに逆ギレ。クラスメイトにも八つ当たり。

遅刻したうえ、ドラムスティックを忘れてくる。

「10分だけだぞ!」と取りに戻らせてもらえるが(普通の鬼教師だったら、「お前、もう帰れ!二度と来るな!」になるよね…優しいなあ)、運転しながら携帯で話していたため事故る。



怪我でボロボロになりながら、本番に到着。無理やり演奏するが怪我のため演奏できず本番を台無しにする。


教師に逆ギレ。つまみ出される。

コイツは本当にイカンわ。エゴが強すぎ。映画の最初と最後がドラムソロなのでそれに象徴されている。
遅刻のシーンなど笑うしかない場面だと思うのだが、大真面目に撮られ過ぎていて、見ているこっちがどう見てよいものやら困惑してしまう。この作品も例の真面目映画である。
なんだかなあ…という感想しか浮かばない映画だった。一番問題なのが音楽映画なのに良い曲が一つも出てこなかったことではないだろうか? こんなにサントラが欲しいと思えない音楽映画も珍しい。これは、おれがジャズに興味が無いということとは別の問題だと思う。現にラップになど全く興味はないが、『ハッスル&フロウ』や『8マイル』はとても面白かった。
また、映画館のシーンが出てくるが、上映中の場内のカットを映さないので物足りない。


なんだろうこの映画の教訓は…。芸術を極めるときはとことんキチガイとエゴイストになって、他人に迷惑をかけろってことなのかな? うん、それはそのとおりだと思う(でも仲良くできればそれに越したことはないな、うん)。
本物の狂気が見たかった。
いや、でも力の抜けきった芸術作品も素晴らしいし、こんな顔真っ赤にしながら青筋立て続ける芸術は違うかも…。特に音楽だったら、もっと肩の力抜いても良いのでは? よく分からんが…。とりあえず画面的には「芸術!」という感じで分かりやすい。
しかし、製作費が330万ドルとアメリカ映画としては低予算なのに、大ヒットして賞まで取るんだからスゴいものだ。
予告編
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