とんでもないことがおきている!『カメラを止めるな!』
- 2018/08/20
- 11:46
カナザワ映画祭2018「世界陰謀論大会」終了日の翌日に金沢へ帰る予定が、大雨の影響で特急サンダーバードが全線ストップ。
仕方ないので大阪でもう一日泊まることにした。
いい機会だと、昼間は「シリアルキラー展」、夜は梅田のTOHO CINEMASへ『カメラを止めるな!』を見に行った。

どちらのイベントも平日にもかかわらず大盛況で学ぶところがあり、とても参考になった。
特にすごかったのが『カメラを止めるな!』のTOHO CINEMAS梅田での上映。

『ミッション・インポッシブル』や『ジュラシックワールド』などのハリウッド大作の最新作を押さえて、一番大きいスクリーン1での上映!
スペックは下記の通り。
SCREEN 1
座席数(車椅子用)733+(4)
スクリーンサイズ6.3×15.0m TCX®
デジタル音響DOLBY ATMOS
昔、ここで『スターシップ・トゥルーパーズ』や『ゴールデンアイ』なんかを見た記憶がある。梅田劇場とかなんとかって名前だったような気が…。
700席を超えるこの劇場が平日夜にもかかわらずなんとほぼ満員! 600人以上は入っていたんじゃないだろうか?
客層もサブカル層ではなく。老若男女の一般層ばかりだった。
開演前のその光景で圧倒され敗北感と共にお腹いっぱいになってしまった…。
この客入りだったらこの劇場で一日かけるだけで300万円と言われるこの作品の制作費を越えてしまうだろう。
さて、20~30分に渡って上映され続けるつまらなさそうな日本映画の予告編を我慢してやり過ごすとようやく本編が開始。
体感だと40分位のよくありそうな廃墟でよくありそうなワンカット撮影された凡ゾンビ映画が流れ続けていた。これだけだと「期待の新人監督」で落ちるレベルなので、何かあるはずだと見続けているとそのゾンビ映画が終わってようやく『カメラを止めるな!』のタイトルが。
前半のゾンビ映画で耐えきれなくなったのか、退場する観客が3~4人はいた。
しかし、後半からはその前半我慢した分が全てカタルシスへと向かう構成で、劇場はドッカンドッカン受けていた。
この構成はどこかで見たことがあるぞと思っていたら、2016年の「期待の新人監督」グランプリの『さいなら、BAD SAMURAI』(大野大輔監督)とよく似ていた。
『さいなら、BAD SAMURAI』も前半に流れる映画内映画を我慢すると、後半にそれが活きてくる構成だったが、こちらも300人の観客がドッカンドッカン受けていたのをよく記憶している。さらにこちらも映画製作がテーマで監督が主人公だ。

また、つい先日開催した「世界陰謀論大会」での二本立て『日本の悲劇』+『狂気の海』も奇しくも同様の効果を狙った組み合わせだった。
日教組教師の授業のような押し付けがましい『日本の悲劇』を40分我慢して、次の『狂気の海』を見るとセリフの一つ一つが活きてきてドッカンドッカン受けていた。『狂気の海』は10年ぶりに見たが、その当時よりも今回の上映の方が面白く感じた。
このような構成の作品に何か名前があるのか? また他にこのような構成の作品があれば是非教えて頂きたい。
そして、『カメラを止めるな!』上映終了後は、観客が皆んな「面白かったー」「おもしろかった~」と口々に言っていた。
そういえば20年以上も前にここで『スターシップ・トゥルーパーズ』や『L.A.コンフィデンシャル』見た時も、終わった後に他の観客が興奮してたっけなあ・・・。大阪の観客はノリがいいのだろうか?
この300万円の独立映画(スタッフなどはプロなので自主映画ではないのかと)がここまでの大ヒットを飛ばすって痛快でジャパニーズドリームなんじゃないだろうか? 映画で大金持ちになったら若者に夢を与えると想う。
有名俳優が一人もいないので、結局俳優はヒットと関係ないことも証明してしまった。
しかし、このような夢のない発言も…。
大ヒットに伴う収入について上田監督は「一般的に興行収入は監督に入らない場合が多いです。ですから、興行収入はボクには入らないです」と話していた。
・・・え?
とりあえず上の発言は聞かなかったことにして、
とにかく映画の内容は観客をドン引かせるような狂気もなく、ほどほどの塩梅なのも良かったのだろう。
観客を引かせることに命を捧げ、いつもやり過ぎるカナザワ映画祭とは大違いだ。
また、ゾンビ映画の薀蓄などもあまりなく、サラッとしていた。
全てが程よいので、一観客としては熱狂するほど好きにはならず二回目見ることもないだろうが、こういう90分でキチッと観客を満足させて終わる娯楽映画はここ30年の日本映画では珍しいんじゃないだろうか?
教訓
やり過ぎず、ほどほどに
一方で昼間に見に行った「シリアルキラー展」も大盛況で、こちらはライトサブカル層っぽい客層だった。
連続殺人鬼は90年代に熱心に本などを読んでから、一旦冷めて、現在は日本の殺人鬼にしかあまり興味がなくなってしまったが、
本物の有名殺人鬼の絵が飾られているということで興味本位で見に行った。

商売っ気に溢れた稚拙な絵の洪水(殺人鬼が刑務所から販売して小遣い稼ぎにしていたせいか、いかにもなキャッチーな題材ばかり)やチープな解説(必ず最後は人間の深淵がどうのこうので終わる解説文)にお腹いっぱいになってしまったが、学べるところが多々あった。
会場に『ネクロマンティック』のブルーレイが売っていたり、殺人鬼シールが売られていたり、マンソンの曲がかかっていたりと、自分なら躊躇してしまいそうなベタさというか直球さだったが、この客入りを見るとこれでいいんだと学べた、
教訓
ひねらず、そのままでいい
大雨による電車運休でたくさんのことを大阪で学べた一日でした。
ということで、10月北九州で開催の「死と禁忌」もうすぐラインナップ発表です。
よろしくおねがいします。

仕方ないので大阪でもう一日泊まることにした。
いい機会だと、昼間は「シリアルキラー展」、夜は梅田のTOHO CINEMASへ『カメラを止めるな!』を見に行った。

どちらのイベントも平日にもかかわらず大盛況で学ぶところがあり、とても参考になった。
特にすごかったのが『カメラを止めるな!』のTOHO CINEMAS梅田での上映。

『ミッション・インポッシブル』や『ジュラシックワールド』などのハリウッド大作の最新作を押さえて、一番大きいスクリーン1での上映!
スペックは下記の通り。
SCREEN 1
座席数(車椅子用)733+(4)
スクリーンサイズ6.3×15.0m TCX®
デジタル音響DOLBY ATMOS
昔、ここで『スターシップ・トゥルーパーズ』や『ゴールデンアイ』なんかを見た記憶がある。梅田劇場とかなんとかって名前だったような気が…。
700席を超えるこの劇場が平日夜にもかかわらずなんとほぼ満員! 600人以上は入っていたんじゃないだろうか?
客層もサブカル層ではなく。老若男女の一般層ばかりだった。
開演前のその光景で圧倒され敗北感と共にお腹いっぱいになってしまった…。
この客入りだったらこの劇場で一日かけるだけで300万円と言われるこの作品の制作費を越えてしまうだろう。
さて、20~30分に渡って上映され続けるつまらなさそうな日本映画の予告編を我慢してやり過ごすとようやく本編が開始。
体感だと40分位のよくありそうな廃墟でよくありそうなワンカット撮影された凡ゾンビ映画が流れ続けていた。これだけだと「期待の新人監督」で落ちるレベルなので、何かあるはずだと見続けているとそのゾンビ映画が終わってようやく『カメラを止めるな!』のタイトルが。
前半のゾンビ映画で耐えきれなくなったのか、退場する観客が3~4人はいた。
しかし、後半からはその前半我慢した分が全てカタルシスへと向かう構成で、劇場はドッカンドッカン受けていた。
この構成はどこかで見たことがあるぞと思っていたら、2016年の「期待の新人監督」グランプリの『さいなら、BAD SAMURAI』(大野大輔監督)とよく似ていた。
『さいなら、BAD SAMURAI』も前半に流れる映画内映画を我慢すると、後半にそれが活きてくる構成だったが、こちらも300人の観客がドッカンドッカン受けていたのをよく記憶している。さらにこちらも映画製作がテーマで監督が主人公だ。

また、つい先日開催した「世界陰謀論大会」での二本立て『日本の悲劇』+『狂気の海』も奇しくも同様の効果を狙った組み合わせだった。
日教組教師の授業のような押し付けがましい『日本の悲劇』を40分我慢して、次の『狂気の海』を見るとセリフの一つ一つが活きてきてドッカンドッカン受けていた。『狂気の海』は10年ぶりに見たが、その当時よりも今回の上映の方が面白く感じた。
カナザワ映画祭「世界陰謀論大会」終了。亀井文夫『日本の悲劇』と『狂気の海』の2本立ては妙に似ていて驚いた。展開が一方的という点においてですよ。 pic.twitter.com/Ob49vAiBWG
— 高橋洋 (@sodomunoichi) 2018年8月16日
このような構成の作品に何か名前があるのか? また他にこのような構成の作品があれば是非教えて頂きたい。
そして、『カメラを止めるな!』上映終了後は、観客が皆んな「面白かったー」「おもしろかった~」と口々に言っていた。
そういえば20年以上も前にここで『スターシップ・トゥルーパーズ』や『L.A.コンフィデンシャル』見た時も、終わった後に他の観客が興奮してたっけなあ・・・。大阪の観客はノリがいいのだろうか?
この300万円の独立映画(スタッフなどはプロなので自主映画ではないのかと)がここまでの大ヒットを飛ばすって痛快でジャパニーズドリームなんじゃないだろうか? 映画で大金持ちになったら若者に夢を与えると想う。
有名俳優が一人もいないので、結局俳優はヒットと関係ないことも証明してしまった。
しかし、このような夢のない発言も…。
大ヒットに伴う収入について上田監督は「一般的に興行収入は監督に入らない場合が多いです。ですから、興行収入はボクには入らないです」と話していた。
・・・え?
とりあえず上の発言は聞かなかったことにして、
とにかく映画の内容は観客をドン引かせるような狂気もなく、ほどほどの塩梅なのも良かったのだろう。
観客を引かせることに命を捧げ、いつもやり過ぎるカナザワ映画祭とは大違いだ。
また、ゾンビ映画の薀蓄などもあまりなく、サラッとしていた。
全てが程よいので、一観客としては熱狂するほど好きにはならず二回目見ることもないだろうが、こういう90分でキチッと観客を満足させて終わる娯楽映画はここ30年の日本映画では珍しいんじゃないだろうか?
教訓
やり過ぎず、ほどほどに
一方で昼間に見に行った「シリアルキラー展」も大盛況で、こちらはライトサブカル層っぽい客層だった。
連続殺人鬼は90年代に熱心に本などを読んでから、一旦冷めて、現在は日本の殺人鬼にしかあまり興味がなくなってしまったが、
本物の有名殺人鬼の絵が飾られているということで興味本位で見に行った。

商売っ気に溢れた稚拙な絵の洪水(殺人鬼が刑務所から販売して小遣い稼ぎにしていたせいか、いかにもなキャッチーな題材ばかり)やチープな解説(必ず最後は人間の深淵がどうのこうので終わる解説文)にお腹いっぱいになってしまったが、学べるところが多々あった。
会場に『ネクロマンティック』のブルーレイが売っていたり、殺人鬼シールが売られていたり、マンソンの曲がかかっていたりと、自分なら躊躇してしまいそうなベタさというか直球さだったが、この客入りを見るとこれでいいんだと学べた、
教訓
ひねらず、そのままでいい
大雨による電車運休でたくさんのことを大阪で学べた一日でした。
ということで、10月北九州で開催の「死と禁忌」もうすぐラインナップ発表です。
よろしくおねがいします。

- 関連記事
カナザワ映画祭 関連書籍