擬似ドキュメンタリーで描く宇宙人との架空戦記『アウトポスト37』
- 2015/02/21
- 13:55

アウトポスト37 [DVD]
posted with ヨメレバ
ライリー・マクレンドン TCエンタテインメント 2015-04-24
2021年、「ヘヴィー」と呼ばれる宇宙人が突然侵略を開始。

2022年、戦いの末、ヘヴィーは自分たちの兵隊と前哨基地を残したまま唐突に地球から撤退。

2023年、ヘヴィーの残党を掃討する目的でUSDF(The United Space Defense Force)という軍が創設される。

2033年、任務をほぼ終えたUSDFは規模も予算も縮小。存在を世間に忘れられながらも、未だに辺境にわずかに残ったヘヴィーの残党勢力と戦っていた。
この作品は、西アジアの「outpost(前哨基地)」でヘヴィーと戦うUSDFのある一部隊を記録したドキュメンタリーである。



擬似の記録映像とインタビューで構成された本作はまんまアフガンやイラクでの従軍ドキュメンタリーにそっくり。特に2011年にカナザワ映画祭でも上映したアフガン戦争の前哨基地の一部隊を記録したドキュメンタリー『レストレポ』にそっくりである。


2033年とはいえ、軍の装備(ほとんど米軍にしか見えないUSDF)も戦場の景色も今と殆ど変わらない(景色は西アジアの田舎なので当然か)。その中に宇宙人とその建築物という異質が混じり、奇妙な景色となっている。


敵の大半はヘヴィーに操られたムスリムの地元民。地元民20人に対してヘヴィーが一体の少数精鋭。ヘヴィーの外見はFPSゲームのクラシック「Half-Life」に出てきたAlien Gruntに似ている。片手からビームを出す。
操られたムスリム地元民はUSDFに対して自爆攻撃などで襲撃してくる。なので、ヘヴィーがいないと今の戦争のまんまである。



通訳を務める「友人」の地元ムスリム。

PMC(民間軍事会社)とUSDFは仲が悪いようである。

もちろんUSDFはドローンも使う。


前哨基地でも大半は退屈な日常。午睡。

地元民の主食、羊も食べてみる。

ヘヴィーを捕獲。でも言葉も通じないのですぐ射殺。

捕虜になった隊員は頭に何かを埋め込まれマインドコントロールされて戻されてくる。ヘヴィーの捕虜にはなれない。殺すか殺されるかだ。

最後は敵の基地にカチコミをかける。この場面ではドキュメンタリー映像を忘れて普通の映画の撮り方になっているのが面白い。


最後の戦いでカメラマンもダウン。

前哨基地といっても単なるトタン小屋のセットで、出てくる車両も中古っぽい装甲車一台だけの低予算作品だが、監督のJabbar RaisaniはVFXマンなので、ツボを抑えたCGIの使い方をしていて効果を上げている。俳優たちも良い演技。
90分をきっちり楽しませてくれるB級映画の良品だ。
予告編
- 関連記事
カナザワ映画祭 関連書籍